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CONEY HATCH / S.T. / 1982

マニアでなくても一度はこのイギリスの狂人収容所の名前に由来するバンド名を聞いたことはあるだろう。愛すべきカナダのハードロックバンドとして、TRIUMPHやSANTERS同様に日本でアルバムがリリースされたのに、あまりに地味な存在に終始してしまったのが不思議なくらい質の良いバンドだった。RUSHと同じAnthem Records(WIRLESSという素晴らしいバンドもこのレーベルだった)からデビューを飾り、ある程度の成功は約束されていたバンドでもあった。プロデュースはギターマンのKim Mitchell。"Devil's Deck"、ALDO NOVAが後にカバーした"Hey Operator"などがオススメの曲だ。まだまだ荒削りな印象のある作品だが、リリース当時は聞きまくった一枚である。
クサレポイント

日本盤では2ndアルバムが最初にリリースされ、次いで本作がリリースされたため、順序を混同してしまう人が多かった。当時のオビはライナーノーツを折り返してジャケット右手に出すというアイデアものだったが長続きしなかった 。



CONEY HATCH / Outa hand / 1983

前作で荒削りだった部分が少なくなり、曲によってはハードなAORって感じなものもあるが、Carl Dixonのハードドライヴィンなギターは相変わらず素晴らしい。その彼とダブルボーカルスタイルを担うベースのAndy Currainの仕事も忘れちゃいけない。"To Feel The Feeling Again"という泣きの名バラードはマニアならずとも一度は聴いておきたい一曲だ。
クサレポイント

前作の邦題は「狂気の叫び」というワケの分からないものだったけど、「疾風の如く」との邦題をつけられた本作はイメージに合っていると思う。プロデューサーはMax Norman。悪い作品であるわけがない。



CONEY HATCH / Friction / 1985

ドラムスの交代を経てリリースされた3rdアルバム、プロデューサーは前作同様Max Norman。やはりツボを刺激する優秀なメロディックハードであるが、プロデュース面でもバンドの脂のノリ具合の点でも本作はかなりステップアップしているように思う。"She's Gone"、"Wrong Side Of Town"、"Fantasy"、"Burning Love"などなど、カッコいいハードロックの見本のような曲が目白押しだ 。

クサレポイント

そんな内容なのにアルバムセールスは伸び悩んで翌年にはバンドは解散してしまったようだ。その後は時々の再結成を繰り返している(この時期に現DREAM THEATERのJames LaBrieも在籍していたとか)が、Carl Dixonはカナダのヘヴィロック重鎮バンド、GUESS WHOに参加しているようだ 。



STARFIGHTERS / S.T. / 1981

NWOBHMのカタログでちょくちょく出てくるタテノリ命のバンドだが、同じタテノリでもSPIDERやVARDISがSTATUS QUO譲りのブギーであったのに対し、こちらは音はまるっきりAC/DCだ。B面がやや70年代にレイドバックしたかのような音だが、このテのリズムはいつの時代も普遍であるということなんだろうか 。

クサレポイント

しかしAC/DCにそっくりなのも、実はリズムギターのStevie YoungがAngus、MalcomのYoung兄弟の甥っ子だからだ。この一族はこのリズムで人生を送っているんだねぇ(^^ゞ



STARFIGHTERS / In-Flight Movie / 1982

相変わらずのAC/DC路線だがややメロディアスになり、音もブ厚くなっている。メロディアスなAC/DCといった感じ。活動時期がNWOBHMなのでそのカテゴリーに入るんだろうけど、この時期のハードロックなら何でもかんでもNWOBHMっていうのもなぁ、ということを感じさせられるバンドのひとつだ。つまり、新人らしからぬ余裕というかノビノビとリズムをキメていて、70年代ハードロックのスピリッツを感じさせるバンドなのだ。残念ながら本作を最後にバンドは解散したようだ 。

クサレポイント

この後Stevie Youngは1988年のAC/DCのアメリカンツアーにMalcom Youngの代役としてAC/DCに一時的に参加した。リフもルックスもそっくりだからみんな気が付かなかったことだろう 。