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SACRED RITE / S.T. / 1984

ハワイの若者たちが結成したバンド、当時17歳だったとのことだが、演奏水準が凄く高い。ベースとギターがユニゾンでメロディを弾くことの快感を良く知っているバンドだ。ベースの音数が多いのでハワイのIRON MAIDEN(ほかにもそういわれたバンドもあったけど(^^ゞ)なんていわれていたとおりベースを中心とした曲作りがなされていて、いい意味で荒削りな勢いがある。"Wings Of Pegasus"という名曲で幕を開け、聴くにつれ唸らざるを得ないハイレベルなメタルが次々と飛び出してくる快作なのだ。本作はもともとは白ジャケが1,000枚自主製作のオリジナルプレス。その後のフランスのAxe killer Recordsからのディストリビュートリリースでこのジャケで世間に知られることになった。Axe Killer側にはオープニングチューンの"Wings Of Pegasus"のイメージでシャケを書いてね〜と頼んだのに、仕上がったのがこのジャケ画だったそうで、クレームつける間もなくリリースされてしまってがっかり・・・とリーダーのPeter Craneの、今になっての回想録が泣ける。
クサレポイント

私が持っているのは世間にはAxe killer盤として通っている写真のものなんだけど、裏ジャケのAxe killerの表記が全くない、盤のレーベルも自主製作のものと一緒という謎レコードだ。かつてPeterさんに問い合わせたけど「よく分からんねぇ」といわれてしまった(^^ゞ



SACRED RITE / The Ritual / 1985

A面がスタジオ新録、B面がライヴテイクという変則なアルバム。スタジオテイクは前作に比べて曲にヒネりがついていて、テクニカルメタルのニオイも感じることが出来る。曲のイニシアティヴをとるPeter Craneのベースプレイは本作でもそのオリジナリティを確立している。それに絡む2本のギターも見事だ。
クサレポイント

1stに収録されていた"Executioner"のライヴがここには収められているが、この曲はスタジオテイクよりもライヴの方がカッコよく聞こえる。ライヴでも演奏がカチ〜ッとしてて、改めてその凄みが伝わる良いテイクなのだ。



SACRED RITE / Is Nothing Sacred / 1986

前作、前々作と同じ路線であるが、マテリアルが1985年以前のものであるので当たり前と言えば当たり前だ。"I've Seen The Wizard"を始めとして、ビートルズのカバー曲にも彼ら独特のアジのあるメタルがつまっているのに、結局はセールス的な成功を収められなかったのは何とも不思議なことだ。プロデュースの悪さが災いしてのことだろうけど、それでも彼らのスピリットはヒシヒシと伝わる作品なんだけどなぁ。本作をラストにバンドは自然消滅、各自の道を歩むことになるが、最近 Peter CraneさんがかつてのSACRED RITEをまとめた 公式サイトを立ち上げて、あちこちと移転を繰り返しながらも運営を続けている。ファンレターにもマメに答えてくれるので、興味をもたれた方は一度訪問するといいだろう。

クサレポイント

1stは自主製作の後Axe Killerからのリリース、2ndはNew Renaissance系列のGreeenworldからのリリースで、本作はオランダのMegaton傘下のMedusaからのリリースと、レコードレーベルもかなりマニアックなのが嬉しかった(^^ゞ



TOBRUK / Wild On The Run / 1985

そういうスタンスでプロモートされてしまったからどうしてもBON JOVIを引き合いに出されてしまうのは仕方ないかも知れないが、アメリカ人には逆立ちしても作り出せないメロディを持っていた点ではSHY、TERRAPLANE、HEAVY PETTIN'らと同じ水準の英国メロディック・ハードロックバンドの一つである。もともとはNeat Recordsのアーティストだったし、デビュー作である本作ではタイトルトラックしか印象に残っていない(^^ゞながらも、日本でもシングルカットされてしまった"Falling"、続く"Running From the Night"もワイルドなボーカルが印象的だ。また、ジャケットを変えてアメリカでもリリースされている。

クサレポイント

バンド名を初めて聞いたときはビールメーカーのような名前だなぁと思い、ドイツのバンドかと思ったもんだ。



TOBRUK / Pleasure + Pain / 1988

1987年にEMIでレコーディングされていたマテリアルを1988年にFM Revolver Recordsからリリースした2ndアルバム。メンバーに変更はないが、前作に比べてキーボードがキラキラしていたり、サックスを取り入れたりとかなりポップになった印象がある。"No Paradise In Heaven"のように、ハードロックスタイルながらもメロディアスな音を忘れないという英国ハードポップの水準の高さを示している作品。1stに比べてよく言えば余裕が出て曲作りに幅が出たが、余裕が出すぎて1stにあった勢いは減退している気がしないでもない。

クサレポイント

当時の流行だったDirect Metal Masteringでリリースされたアナログ盤は後に復刻されたCDよりも音がいいんじゃなかろうか。