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V.A. / Metal Knights / 2003 わざわざアナログの限定500枚プレスで2003年リリースだが、中身は1983年から1985年までの知られざるスウェーデンのバンドのデモ音源集。それにしても懐かしいまでの音の悪さには感激の涙を止められない。タイムマシーンに乗せられたかの如きこの音質だからこそホンモノの燃えたぎるメタル魂を感じるのだ。年代からも分かるように、今で言う北欧的様式美が完全に確立する前のメロディであり、NWOBHM、JUDAS PRIESTあたりのバンドを自分達なりに解釈したサウンド。どれもこれもAXE WITCHのデビュー作あたりのニオイがプンプンしていてガッツ溢れる(^^ゞクサレぶり。中でも120点満点のメロディとパワーを撒き散らすEXIST、RUBYCON、NEPTUNE、ORIONS SWORDが最高。解説ブックレット付きだ。 HIGHLIGHT Pilgrim
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CLAVION / Beyond The Frontier / 1988 80年代初めから活動していたけどレコードデビューが遅くなってしまったシンセサイザー入りのメロディックハード。シンセサイザーといってもピコピコサウンドではなくて、温かみのあるキーボードサウンドなので心配無用。ギターは一人だが器用に泣きのリードとバッキングを交互に聞かせるし、前述のシンセキーボードもギターに絡んでそれなりにソロを聞かせる。てことでこの二つのパートが中心になって出来上がるサウンドはネオクラシカル開花当時の北欧メタルのようでもある。"Dreaming Hell"〜"Claws Of Rock"の流れはトリ肌。 クサレポイント そのシンセサイザー奏者は後にプログレフィールドで優れたアルバムを残したFabio Ribeiro。ブラジルのハードロック界でも名の通った人物だ。 |
RESCUE / S.T. / 1990 ドイツ人のような声質のボーカルはところどころに油断を見せるご愛嬌ぶりながら、ギターがリーダーだろうことが音ですぐ分かる優秀なメロディックハード。とにかく聞きやすくて耳に残るメロディが素晴らしい。そんな特長が一番良く表れている"Queen Of The World"は隠れた名曲だと思う。 クサレポイント 元々はPALLASというバンド名(英国のポンプロックとは別)のもとに"Queen Of The World"のアルバムタイトルで1989年にドイツでリリースされたものがオリジナルのようだが、何故かバンド名とボーカルを変え、1曲減らしてFN GUNSでお馴染みのRumble Recordsからリリースされたのが本作。オリジナル盤はジャケがなかなかステキなので探してみてください。 |
GLORY BELL'S BAND / Dressed In Black / 1982 北欧メタルのカタログにはしょっちゅう登場するので知っている人は多いだろう。本作がデビュー作だが、基本となるバッキングはまだ70年代のブリテイッシュハードロックのニオイがする。ただ特徴的なのはGlory NorthことGoran Nordの爬虫類ボーカルだろう。オープニングの「アイノゥ〜」のシャウトはその強烈な個性をこちらの耳の中に植えつけようとネジ込んでくるかのような声だ。彼はこのバンドのデビューのため自主レーベルを設立したという気合の入った人でもある。同郷のSILVER MOUNTAINと同じ世界観を持っているかのような"I'm The Captain"は必聴。 クサレポイント トリプルリードギター(!)の構成美と強いリフとリズムが曲を支配するという内容は、数ある初期北欧メタルの作品の中でもトップクラスの名作なのだ。 |
GLORY BELLS / Century Rendezvous / 1984 2ndアルバムである本作ではバンド名のマイナーチェンジよりも曲の構成がさらに面白いものになったことが印象的だ。単に同じリフで終わるのではなく、緩急をつけたり展開を劇的にしたりと凝ったものになっていて、初期〜中期のJUDAS PRIESTを想起させる部分が多い。ボーカルは相変わらずだが、そのほうが何故か曲にはしっくりきているというのも不思議な魅力だ。 クサレポイント 本作は日本でもめでたくリリースされ、当時の北欧メタルブームに乗っかってそれなりのセールスを記録した。バンドは残念ながら本作で解散。その後Glory Northのプロジェクトバンドが母体となってGLORYが生まれ、日本でもかなりの成功を収めたのは記憶に新しい。 |