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CRYWOLF / S.T. / 1989 「初めての12インチ」の表記と情けない狼の漫画が印象的なジャケットだが、中味はそうでもない。良質なメロディが全編に散りばめられたアメリカンハードロック型の作品が5曲詰め込まれているのだ。ギターがツインリード構成なのも印象よし。 クサレポイント このバンドのリードボーカルはあの絶叫咆哮ボーカリスト、Steve Grimmettの弟のMark Grimmett。とはいえあんな強烈なボーカルスタイルではなくて、ごく平凡なロックボーカリストだ。ちなみにSteve Grimmettは本作でプロデュースを担当している。 |
VERITY / Interrupted Journey / 1983 実質的にはJohn Verityのソロアルバムだが、バンド形式の作品としてリリースされている。John VerityはARGENTやPHOENIXなどのバンドでも活躍した人で英国ロック史上にもその名を残すギタリストではあるが何故か二番手に甘んじた感があり、器用貧乏な印象が拭えない。本作が素晴らしいできだからこそ、そういう印象が深まるのだろか。とにかくオープニングの"Rescue Me"(Y&Tのものとは同名異曲)は一度聴いておきたいメロディックハードの大名曲。 クサレポイント 中にはハードロックの枠からはずれているポップな曲もあるが、ボーカリストとしても彼は優れたミュージシャンであることが分かる作品だ。今でも元気にご活躍中。 |
TKO / Let it Roll / 1979 TKOというバンド名を聞いたことがあっても音に触れたことがある人は案外少ないかもしれない。可愛い顔に似合わないBrad Sinselの泥臭いボーカルと、Rick PierceとTony Bortkoのハードロック然とした、ツボを押さえたツインリードがカッコよいバンドだ。曲もヒネリがあって飽きが来ないし、今聞いてもこれがこの時代のアメリカンハードロックのお手本だといえる音。単に「ハードロック」と言ってもやたらとカテゴリーの多くなってしまった昨今、この時代はいい意味で単純でよかったと思えるのだ。 クサレポイント 本作リリース後に彼らは「ジャパン・ジャム」という江ノ島で行われたフェスティバル出演のために来日している。いやぁ、これは見たかったなぁ〜と思うのだが、そこで共演したアーティストにあのサザンオールスターズがいたというのも驚きだ(^^ゞ。 |
TKO / In Your Face 1984 実は1982年にレコーディングが完了していたのにディール探しに手間取ってリリースが2年遅れてしまった2ndアルバム。前作のTony Borkoに代わってギタリストにAdam Brennerが加入。彼の作品も収録されているがレコーディング当時のメンバーはBrad Sinsel, Rick Pierce, Evan Sheeley、Gary Thompsonだったらしい。前作に比べてよりメタリックな曲が多く、いかにも80年代のメタルといった感じがする。ジャケットがこれで邦題がこれなもんでそこそこ話題にもなった一枚、内容はそれ以上に素晴らしい。 クサレポイント ギタリストのAdam Brennerは1982年に脱退し、改名してソロアルバムをリリース。実はあの「極美」と名づけられたアルバムの「アダム・ボム」こそ彼なのであった。 |
TKO / Below The Belt / 1986 Evan SheeleyとRick Pierce、Gary Thompsonはバンドを脱退しQ5に加入(こちらもいいバンドでしたなぁ・・・)、一時的にメンバーだったKen MaryもFIFTH ANGEL結成のために脱退と、このバンドはとにかくメンバーチェンジが多かった。しかも関連するのはいいバンドばっかり。にもめげずBrad SinselはCULPRITのメンバーだったKjartan KristoffersonとScott Earlを加入させて3rdアルバムとなる本作をリリース。こちらは少し洗練されたハードロック、といった味わいだ。 クサレポイント 結局本作がラストアルバムになってしまったTKOだったが、とにかく優秀なミュージシャンを輩出していたのは前述のとおりだ。シアトルのハードロックシーンではその名を欠かすことの出来ない、ホンモノのアメリカンハードなバンドだったと言える。 |