Page 99
OMEN / Battle Cry / 1984 Page36で紹介したSAVAGE GRACEのギタリストであったKenny Powellが興したバンド。SAVAGE GRACEとはまた違う味わいのあるアメリカン・メタルで、特にMetal Blade Recordsからリリースされたこのデビュー作はいまだに名作の誉れ高いアルバムである。Kennyの作品でありSAVAGE GRACE時代に完成していた"Battle Cry"や"Die By The Blade"、それらを中心として流れるように繋がる全10曲は捨て曲なしの出来栄え。必要以上にリキまずスカさずのJ.D.KimballのボーカルがOMENのサウンドによくあっている。力強さとメロディとを同時に併せ持つバンドはかくもカッコよいものなのか。とにかくどんな人であってもこういう作品を一度は聴かないと魂ある真のメタルは語れないだろう。 クサレポイント しかしこのジャケットは笑えるくらい酷い! バンド名が「オーメン」だし、当時の輸入レコード屋でも手にした人全て(含:自分(^^ゞ)が顔をゆがめるという伝説を生んだ(笑)。左のジャケをクリックすればさらにデカいジャケが拝めるが(^^ゞ、SINNERの2ndアルバム並みのヒドさだ。裏は これ なもんで、頭を抱える。そう、この時点ではクサレな雰囲気をプンプンさせていたバンドだったのだ。 |
OMEN / Warning Of Danger / 1985 2ndアルバムリリースの時点でも前作のジャケットアートの極悪なイメージのせいで、つまらないスラッシュか、みたいなイメージをひきずっていたのが残念だが、実は聞いた人にしかわからない良質なアメリカンパワーメタル。イントロでゾクゾクくる、っていうメタルはイイ! 当時のメタルシーンにおいても型にはまらない強烈なメロディとパワーを持ち合わせていたことを本作で証明している。Kennyのギターから流れる、湿り気のあるメロディラインこそOMENなのだ。その彼とユニゾンで頑張るベースにも拍手。IRON MAIDENが好きだった発言も納得の一枚。 クサレポイント イラストに初めてコブラを登場させたが、これが後々彼らののトレードマークになってゆくのだった。 |
OMEN / The Curse / 1986 基本的には前作の延長線上だが、プロダクションやメンバーの力量など、その完成度は総合力でも前作を凌いでいる。これは「スラッシュメタル」ではなく、この時代最後のアグレッシヴなパワーメタルだ。ボーカルのJ.D.KimballもかなりOMENの「声」になってきたと感じるリキの入ったノドを聞かせる。"Holy Martyr"の逞しくも美しいパワーメロディに涙。 クサレポイント 本作は日本ではデビューアルバムとなった記念すべき作品であるが、邦題の「殺戮」はともかく「祈祷」ってのは何なのだろうか。 |
OMEN / Nightmares / 1987 1st〜3rdアルバムからそれぞれ1曲ずつと、新作の"Nightmares"、"Shock Treatment"、AC/DCのカバーでスタジオライヴの"Whole Lotta Rosie"を収めたミニアルバム。新作についてはアグレッシヴな部分が強調され、メロディが希薄な分、かなりスラッシュ寄りなサウンドになっている。 クサレポイント 「カバー曲がオリジナルを超えることは滅多にない」という教えの通り、AC/DCのカバーが凡百で、彼らのモノになっていないのが残念だ。 |
OMEN / Escape To Nowhere / 1988 ボーカルがJ.D.KimballからCoburn Pharrにチェンジ。しゃがれた声質やジャケットのイラストも拍子抜けだが、何と言ってもあのパワーはどこにいってしまったのかというぐらい音が随分変わってしまって、聴きやすくサラッとした普通のハードロックに成り下がってしまった。いや、劇的な展開は微かに残っているが、OMENはこれじゃいけない、という感じだ。GOLDEN EARINGのカバーも不要だったろう。 クサレポイント どうしてボーカルが変わったのかは分からないが、オリジナルボーカリストのJ.D.Kimballは2003年10月、長年の闘病の末に帰らぬ人になってしまったようだ。OMENの顔はKennyであったが、OMENの「ノド」は今も昔も彼であったと思う。Rest In Peace、本ページは彼に捧げることにしよう・・・。 |