○遭遇期○1999年を迎え、私の今年の一年の計はもちろん「ゲット・ザ・ブラオー」であった。昨年、情報を掴み損ねたものの、ネットによる検索がいかに有効なものかはよく分かった。だからこそあとはただゴールのテープを切るのみ、だ。鼻息も荒く、日々マウスを握る力は増すのであった。 まずは昨年アタリのなかったノルウェーのボードへの再度の書き込みを行った。さらにはこのページでリンクされている、ヨーロッパ中の様々なボードへ同じ内容のメッセージを書き込んだ。失礼な言い方をすればまさに「餌をまく」状態であった。あとは「アタリ」を待つだけ・・・。いやいや、もっと積極的に行動しなくては、といろいろ思案に明け暮れた。 眠たい目をこすりよく見ると、「.....Asgeir..」。
??!! おお、例のノルウェーの編集者ではないか!! それだけで私は拳を天高く突き出していた。 「やあ、遅くなったが、君が望んでいたブラオーのデモテープが見つかったよ」 紛れもなく、Asgeir氏からのメールであった。どうやら彼は、私が彼のボードへ再び書き込んだのを見て、思い出したらしい。
「い゛ゃっふぉ〜うっ!」 このポーズではこう叫ぶのが定石なのだ。文章は続く。 「もしよかったら、このデモテープをダビングするから、トレードしないか?」 へ? ト、トレード!!?? 所有するレコードやCDのトレードはよくある話だが、ダビングしたテープと何をトレードすればいいのだ!!?? ブラオーはすぐそこまで来ている! 悩む余地はない。大至急でわたしは彼にメールを返信することにした。 「なんだか分からないけど何とトレードしたらいいのでしょう。欲しいモノを教えてください。」 なんと間抜けなメールなんだろう。でも構わないと思った。数日後、彼からメールが届いた。 「何を持っているんだい? リストがあるのかい?」 うーん、そうだよなぁ、そう考えるわなぁ、普通。実際リストは作っているものの、すべて日本語で書いたものしかなかった。 「英語で書いたリストはありません。どうしたらいいのでしょう。」 と正直に返事するしかなかった。ブラオーよ、行かないで!の願いをこめて。 さらに数日後、再度のメールが届く。 だめなのかしら。う〜、心臓に悪い。 「いやいや、私たちが言うトレードっていうのはこうだ。つまり、君が90分の生テープを2本、私に送ればいい。そのうちの1本は君のためにブラオーをダビングして君に送り返す。残る一本は私のビジネスのために私が頂く。これが「テープトレード」ってことだ。いいかい・・・?」 「いいとも〜!」 こんどは私は、例のお昼の番組で流行った、手で大きい輪をつくるポーズをしながらそう叫んでいた。
2本どころか10本でも「いいとも!」だった。次の日、テープを買い、すぐポストへ投函した。念願のCDゲットではないが、とにもかくにも音源が手に入る! しかもデモテープなら、輪をかけてレアじゃないか!! 昨年私が数件のレコード屋で入手した情報では、アルバムは4曲入りのミニアルバムということであった。デモなら4曲以上は収録されているだろう。しかしテイクがどうだか、確認しようがないなぁ、などと思いめぐらすのであった。 かつて書き込んだ他のボードへも、いろいろ反応があった。とあるアメリカ人などは、彼はブラオー自体は知らないものの、いろいろとアタリのありそうなレコード屋などのサイトを紹介してくれた。そして最後に、「これらのサイトを回って、見つからなかったらまたこのボードに戻ってきてください。そのときはガンバって私も一緒にさがしますよ。」とまで書き込んでいてくれた。じ〜ん、、、 ネットをやっていて良かったぁ〜、と心から思えるのはこんな人と出会えた時である。アメリカ版とみけんさんともいえる彼もまた、日本のメタルシーンに興味を持ち、いろいろと教えて欲しいという。私はわたしの知る限りのことを彼に話そうと誓ったのであった (う、美しい!)。
さて、Asgeir氏にカセットテープは送った。ノルウェーまで約1週間で到着し、ダビングが完了して返送されるのがそれからさらに1週間〜10日間。合計約2〜3週間。待っている気合いの入れようが凄いだけに、手にするまで長く感じるだろうことは容易に想像できた。しかし、彼を信じて我慢して待つより他はない。それに、これですべて完了ではない。CDの存在を確認するまで。
|
興奮期へ