○宣伝期○

 手元に届いたAsgeir氏のダビングテープとTorbjornのデモテープ、どちらも私にとって宝物となった。カセットテープなので何度もPLAYすると劣化するだろうから、MDにダビングし今後はこれを聴くことにして、カセットテープは私のお宝箱で永久保存することにした。このアルバムの作品としての評価は別ページ「Blind Orphans Biography」にまとめたので参照いただきたい。

 さて、Torbjornと、Torbjornから「自分たちのことでクレイジーな日本人がいるぞ」と聞かされメールをくれたブラオーのボーカリスト、Sven Kaareとの数十回に及ぶメールのやりとり(もちろん今も続いているのです)で、当時この作品が世に出なかったことを彼ら自身も大いに悔やんでいることがわかった。しかし彼らは今ではブラオーではないバンド、GLOWを結成し音楽的成功を収めようと頑張っている。しかし、わたしにとって、これだけの想いのこもったブラオーのアルバム、やはりこのままオクラにはいれておきたくない・・・。 

  今手元にあるこのアルバム、自分だけでひっそりと聴いておくのもよいが、これはホントはもっと簡単に多くの人たちの耳に届いてもよいアルバムではないか。全曲ハードロックなものだと思っていた大方の予想には反していたが、これは実に優れたプログレアルバムだ。ハードロックファンにも受け入れてもらえる内容だ。

 

 宣伝すればいいじゃないか!

 レコード会社関連の仕事をしてるわけでもないし、そちら方面にコネがあるわけでもない。まったくの素人だけどレコード会社(またはその類)に働きかけることはできるだろう。また、今日までいろいろと交流を深めさせていただいているネットメタラー諸氏にも一度このアルバムを聴いていただいて意見も聞いてみたい。

 こうしてダビングの日が続いた。送り届ける以上、自腹でMDを買い揃えるのは当然。国内の主要レーベルにはMD、海外の某レーベルにはMDがメディアとして通用するのか分からなかったのでカセットテープを届けた。もちろんTorbjornとSven Kaareにはこの旨了解を得てからの行動だ。ネットメタラー諸氏にも送り届けさせていただき、感想をいただいた。

 反響は・・・レコード会社からは何の連絡もなかった・・・。正直、これにはガッカリした。「お届けいただきましたけれど・・・」くらいの連絡もなかったので、果たしてちゃんと届いたのか、とさえ感じた。しかし、負けるもんか、というへんな根性がついた。しかし愛想ないねぇ。

 ネットメタラー諸氏の反応はすこぶるよかった。私の苦労を知って下さって優しい言葉を連ねてくださったこともあるだろうけど、みなさん具体的にこのアルバムについて語って下さった。

 その間もTorbjornらとの連絡は途絶えることがなかった。わたしがブラオーの英文のホームページを立ち上げることを決心し、今日までいかにこの作品を探し続けていたかを伝えると、彼らは私のことを「crazy, twisted, fanatic, adorable Japanese maniac」と呼んだりした。特にTorbjornはバンドの要でもあったが、かなりシャレの分かる人物で、私のことをサムライと呼んでくれたり自分のことをVikingと呼んだり、日本のことを「The land of rising Sun」ならぬ「The land of rising Yen(高騰する日本円の国)」と表現したり。このようにサムライとヴァイキングは楽しい交流を続けていた。

 また、交流後の新たな疑問・・・「Torbjorn Dybsand」と「Sven Kaare Sunde」って、どう読むのだろう。これについては、日本にあるノルウェー大使館にメールで聞いてみたところ、「トールビヨルン・ディブサン」と「スヴェン・クーレ・スンデ」が正解だそうな。う〜ん、何かスッキリした!大使館から即座にメールの返事をいただき、ノルウェーという国に対する印象はますます良くなったのであった。

 しかし、肝心のブラオーの音源については、彼らはどうも過去のこと、と考えてしまっているようで、むしろ今活動しているGLOWのプロモートに忙しそうだった。もちろんその気持ちは分かるだが、なんだかもったいない、という気持ちは私の方が強かったようだ。第一、当初の目的であった、「DRIVEレーベルから出されたであろうCDを探す」という夢は、彼らと出会うことで皮肉にもピリオドを打ってしまったことにもなる。だって、メンバー自ら「このアルバムをカセット以外でリリースしたことはないし、あくまでプロモート作品なのだ」と言われれば、CDの存在はおのずと否定せざるを得ない。CDリリースの予定はあったのだろうけど、彼らの知らないところでそれはオクラ入りになった、といったところが話のオチだと考えるのが一番すんなりと受け入れられる。

 CDはなかったのだ。けど、こうやって彼らと交流でき、憧れ続けたこの作品を耳に出来ている状況は神様に感謝しなくては。そして、いつの日かホントにCDが復刻される日を次の夢としよう・・・、などと考えていた2001年、ブラオーに関して久々な衝撃にまた襲われることになる!

達成期へ