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METAL SWORD / Harder Than Steel / 1985

バンド名とジャケットアートどおりの音が飛び出してくる、といえばそれ以上説明はいらないだろう。もうそのまんまの音なのでそういう意味では期待を全く裏切らない。煮え切らないオンチなボーカル、リズムキープで精一杯のサイドギター、ひとりクサいメロディを弾かなければならない重圧と戦うリードギタリスト。けれども彼らこそ典型的クサレメタルなのである。聞き捨てるわけにはいかない・・・。

クサレポイント

どうして典型なのか。このアルバムのラストの曲を聞けばその凄さに気がつくだろう。「Disco Is Fuck」という、タイトルを聞くだけで想像できるこの曲こそ、クサレメタルそのものである。まさにクサレの中のクサレ。「ディスコォォォォ、イズ、ファァァァァッック!!」。それでもって、「ファァァァァッック!!」の部分なんて、エコーまでかかっている! 愛好家なら一度は耳にしておきたい、涙なくしては聞けはしない名曲だ。



GARCIA & GARCIA / Mr. Fire / 1991

おそらくブラジルを拠点としていた3人組。ベーシストはキーボードを弾きながらペダルベースを操るという器用な人である。とにかくなんといったらいいのだろうか、う〜ん、MOTORHEAD Meets RAINBOW ! 暴走するリズムに絡むメロディアスなキーボードが実に不思議な雰囲気を醸し出していて、他ではなかなか味わえないものがある。とにかくベース兼キーボードのオッサンの仕事が素晴らしすぎる。時折きかせるギターとの絡みは、マニアなら涙・鼻水なくして聞けはしまい。

クサレポイント

そんな職人肌のベース兼キーボードのルックスがこれ。このオッサン、計算ずくなのか? まさしくクサレメタルの権化といえはしないだろうか。裏ジャケのこの写真を拝んでこそ、このアルバムの価値は増すのである。



AVALON / The Third Move/ 1986

オランダのコージー・パウエル(誰が言った?^^;)と呼ばれたFrankie Woodhouseが率いる、ギター・キーボード編成の5人。ギターがツボをおさえたクサいメロディを聞かせてくれるのがなんとも嬉しいし、Frankie先生の重量感あふれるドラムプレイもパワフルそのもの、各曲をぐっとひきしめている。

クサレポイント

てなわけで、バックは実にカッコいいのに・・・なんだ、このヘナヘナボーカル!ついでにコーラスもヘナヘナ。B級メタル独特のクサさである。ああもったいない、でも好きだなぁ、ボーカル。



DEMON FLIGHT / Demon Flight / 1982

とにかくヒドいアルバムである。A面2曲、B面1曲のミニアルバムだが、名前だけはあちこちで聞くバンドであり、Metal Blade Recordからのリリースなので、それなりの内容かと思いきやこのバンド、コードを3つしか知らないのではないかと思えるぐらい、曲がつまらない。同じリフを繰り返すだけで、そのうえ歌えないボーカリストの歌声を聞かされるのは辛いものがある。

クサレポイント

B面のタイトルはFlight Of The Demon。これは私のクサレメタル法則ではかなりの名曲であるはずなのに、延々と5分以上、ワンコードでひっぱる曲展開には驚かされる。



HUIZAR / Al Final Del Segundo Milenio / 1989

メキシコのボーカルヒーロー(と言われているらしい)Arturo Huizarを中心としたバンド。ギターも頑張って良いメロを弾いていて、そのソロの中には泣きのギタートーンやクラシカルなリードがちりばめられており、なかなかの多才ぶり。とくにA面ラストは鳥肌ものの1曲である。メロディック寄りの曲が多いのでメロディ重視のマニアは要チェックなバンド。

クサレポイント

とにかく音があまり良くない。まるで3畳ほどの狭い部屋で演奏してるかの様な臨場感あふれすぎる音と、ボーカルが前に出過ぎている音処理はちょっといただけないかも。泣かせるメロディがいっぱいなだけにもったいない。



GLACIER / S.T. / 1985

おそらくアメリカ出身の4人組、ボーカリストはギターも弾いている。知られざる存在ながらスケールの大きな、疾走感のある良質なハードロック、十分に唄えるボーカリスト、随所に好メロディを弾き込むギターなど、実に正統派然としたバンドである。曲も劇的でよく練り込まれている。"Vendetta"という曲 は実にドラマティックで、そのまんまアイアンメイデンな曲。

クサレポイント

このアルバムにクサったところはないが、唯一、なぜかリリースがフランスのAXE KILLER RECORDSなのがマニアを唸らせる。彼らの苦労を垣間見る思いがするのは私だけではないだろう。



ZERO NINE / Visions, Scenes And Dreams / 1982

フィンランドのDEEP PURPLEと言われ、自国ではかなりのメジャーアーティストでもある彼らの真のデビュー作。ノリのよいリズムに絡むハモンドオルガンの音色は日本人の琴線に大いに触れるものである。後に生み出す数々の名作の出発点ともいえる本作もやはり随所にZERO NINE節が炸裂している。

クサレポイント

アルバムを手にすればわかるのだが、このジャケット、どちらが表でどちらが裏だかわからない。かろうじて小さくレーベルマークが書かれている方が裏だと思われるのだが、各曲のタイトルもメンバー名も何も書かれていない、不思議なジャケットなのである。