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CRYSYS / Hard As Rock / 1981

アメリカのバンドだが、音はB級ながら良質なNWOBHMそのもの。いい意味でアメリカらしさは微塵もない。多分兄弟なのだろうが、Tim KaseyとGene Kaseyという同じファミリーネームの2人がメインで、何故かクレジットされていないがCary Rayというベーシストも在籍している。自主製作ゆえ、レンジの狭いこじんまりした音作りは大目に見て、曲の出来やギターメロなどはまさに正統派NWOBHM、あのBUDGIEを少し貧相にしたといった感じだ。NWOBHM命のメタル野郎には"Blackout"や"My Desire"、70年代ハードもいける口のマニアには"Satans World"という曲には唸ってしまうことだろう。

クサレポイント

いやはや、カネはかかっていないぞ、このアルバムは(笑)。しかし、アメリカ国内ではマニア相手にそこそこの売り上げがあったようで、少しは儲かったらしい。で、この一作のみでバンド活動は停止させたようだ。でTim Kaseyはこの後、Page 1 にレビューしたGLACIERのスタッフとして活躍したとのことだ。



LORDS OF THE CRIMSON ALLIANCE / S.T. / 1986

なんちゅう長いバンド名だ! その名から察するとおり、曲の構成に重点をおいた様式美っぽいメタルを目指している。ギターがメインで、劇的な展開を見せるあたりLIEGE LORDと比べてみるのも面白い。とにかくギターはカッコいいぞ!

クサレポイント

しかしここのボーカリストはあのKing Diamondっぽいシャウトを聞かせてくれる。もちろん凄みや巧さでは本家に勝ることはないが、一聴の価値はある。



TYTON / Mind Over Metal / 1987

厳かなイントロでアルバムは幕を明け、続くオープニングに期待を抱くもこれが凡百でつませない曲・・・。決してヘタではなく、テクニカルメタルの雰囲気も持ち合わせているけど、ワクワク感がちっとも味わえない作品・・・。

クサレポイント

そんな彼らの良いところを無理に見出せば、スローな曲のメロデイは美しいかもしれない。"The Valiant"は何故だかあのMAMAS BOYSを思い浮かべてしまった。



THUNDER / All I Want / 1984

もちろんあの元TERRAPLANEだったTHUNDERとは別のバンド。高音部がロブ・ハルフォードになってしまうボーカルを要した、クサレな猪突猛進メタルだが、あのTHUNDERFIREよりはまだ聴ける。この時代の最速リズムは、MOTORHEADやACCEPTといったアーティストを思い起こさせ、首を振りながらも心が和んでしまうという不思議な魅力を持っている。"Eye Of The Thunderstorm"、"Heavy Metal"、"Listen To The Heavy Metal Thunder"なんてタイトルは聞く前から正体がわかるというものだ。首を鍛えてから聴くべし。

クサレポイント

"Listen To The Heavy Metal Thunder"はイイ! 「へびめろ、さんだー!」の、「だー!」のところだけ素っ頓狂にカン高い(笑)。 ギタリストはなかなか弾ける人だが、確実にACCEPTあたりが好きなはずだ。ここそこにおなじみのリードギターが飛び出してくるのだ。そしてボーカルはIRON MAIDEN好きか。これまたポール・ディアノがトシをとったような声してる。



V.A. / Holland Heavy Metal Vol.1 / 1982

オランダのアンダーグラウンドなメタルを売り込むためのスプリットアルバムで、そのVol.1である本作はSAD IRONとSEDUCERを収録。SAD IRONはオニのアルバムジャケットで知られたあのアーティストだが、まだデビュー前の音源は貴重だ。なんといってもバンドアンセムの"SAD IRON"はここでしか聞けない。「さっさっさっ、さっどぁいあ〜んっ!」って唄っていて、目じりもさがります^^; カップリングのSEDUCERはオヤジ声のロックンロールでテンションはやや下がる。

クサレポイント

アルバムには"Live In Brouwershoeck"と書かれているが、客の声など全くなくて、ライヴ感は伝わらない。スタジオライヴなのだろうか。



V.A. / Holland Heavy Metal Vol.2 / 1982

Holland Heavy Metalの続編で、Vol.1と同時にリリースされたと思われる。こちらにはSECOND SKIN、VORTEX、AZA、THE WILD、NEXUSと贅沢にも(笑)5アーティスト収録。 後にメンバーチェンジしてTRUE METALなアルバムをリリースするオランダの名クサレバンド・VORTEXは、本作ではまだ軽めのハードロックバンドといった感じだが、それでも"Gonna Hit You"のようなJUDAS PRIEST丸出しの曲もあるから嬉しい。 しかし、このアルバムの価値はAZAとTHE WILD、NEXUSを収録しているところにある。この3つのバンドはこの時点ですでにクサレメタルの何たるかを体得しているといえよう! なかでもNEXUSの"Saltation"は素晴らしいので一度は聴くようにしましょう。

クサレポイント

Vol.1は1枚100円であちこちの中古レコード屋さんに転がっていたが、こちらのVol.2はなぜかあまり見かけなかった。内容はこちらの方が上なので、500円までなら即買いだ(笑)。