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THRUST & THE LAZER BAND / Solidarnosc Rock For Poland / 1982

1980年に始まったいわゆるポーランド危機で困窮したポーランドをはげまそうという趣旨で行われたコンサートのライヴアルバム。THE LAZER BANDはなんてことはないハードロックバンドだが、THRUSTはこの後"Fist Held High"という名クサレアルバムを残したあのバンドだ。ここではまだ地元シカゴのローカルバンドとしてステージに上がっているのだが、このライヴの評判が後々の活動にも良い影響を与えたようだ。この熱いライヴで"Iron Gates"、"The Wolf"、Feast O Flesh"、"Hard Rider"の4曲を披露している。これらは前述の"Fist Held High"アルバムのCD化にあたりボーナストラックとして収録されたようだがこのライヴのテイクかどうかは未確認。

クサレポイント

シカゴのIRON MAIDENと言われ(誰が言った?)、ベースとギターがユニゾンでメロを垂れ流したり、劇的な展開を見せる曲調が彼らの魅力だ。ポーランドの人たちに捧げた"Iron Gates"は曲のカッコよさからして必聴モノだ。



BLOODLUST / Guilty As Sin / 1986

ツインリード構成、アメリカ産のヨワヨワなスラッシュバンドとして知られている。名前から思いつくのはVENOMみたいなバンドなのかなということだが、あんなにカルトではなくって、もっとストレートなパワーメタルだ。スラッシュと呼ぶにはややスピード不足。しかし曲によってはクサレメタルパワーを感じるものもあるので、クサレ野郎たちの耳にも馴染む音である。曲の出来がなかなか素晴らしいA面がオススメ。しかしアメリカのパワーメタルってどうしてこんなにスネアの音がスカスカなんだろう。

クサレポイント

ここのボーカルは、出来るわけないのにディオとロブ・ハルフォードをいっぺんに再現しようと頑張ったに違いない。調子よく歌っているが、時折聞かせる素っ頓狂なハイトーンが万人の涙をさそうのだ。"Chainsaw"ではサビの部分でなりきれていないハイトーン連発。(笑)



NEUROOT / Plead Insanity / 1987

かなり気合の入ったスラッシュ、ややハードコアのにおいがしなくもないが、ベーシストのプレイは素晴らしい。ギターよりも音数が多いのは凄い。リードベースギターといった感じだ。テクニックこそ違いがあっても、彼のアイドルはVenomのクロノスではないだろうか。話題づくりのためにも一度は聞いておきたいアルバムだ。

クサレポイント

しか〜し、ボーカリストのこのスタイルはイヤだなぁ。デスではないけど、いわゆる吐き捨て型で音に歌詞がのらないタイプ。演奏はなかなかなのにもったいない。



MANILLA ROAD / Open The Gate / 1985

数ある彼らの作品の中でも一番思い入れの深いアルバム・・・というのも、当時最初に聞いた彼らの音源がこれだからなのだ。MANILLA ROADはアメリカの3人組というハンデをものともせず、自分たちの世界を頑なにまで貫いたクサレメタルの先祖的な存在としてマニアの心にしっかりと刻み込まれている。フランスのメタルレーベルであるBlack Dragonからリリースされた本作も、「カルトメタル」の一言で片付けられない世界を聞かせてくれる。決してテクがあり泣かせるメロがあるわけではないが、聞けば聞くほど病み付きになるのである。

クサレポイント

どよ〜んとしたドゥーミーなノリがお得意ではあるが、"Heavy Metal To The World"のようなスピードチューンもマニアの心をくすぐる。このアルバムはオマケとして"The Ninth Wave"と"Witche's Brew"の2曲入りの12インチシングルが同梱されているのでお買い得感もバッチリだ。



WARRIORS / S.T. / 1983

1985年、LAメタルブームのころカナダのエージェントから"Try Again"アルバムをリリースしたWARRIORSというバンドがいたことはご存知だろうか。同時期の"Fighting For The Earth"でおなじみのWARRIORとよく混同されたバンドでもあったが、このWARRIORSは実はユーゴスラヴィア出身で、"Try Again"以前に自国で1stアルバムをリリースしていた。それが本作である。カン高いボーカルと、ヨーロッパのハードロックととアメリカのハードロックとをミックスさせたようなメロディはなかなか面白い。正確にはメタルではなくってハードロックな彼らだが、カナダへと拠点を移したことが正解だったのは、このアルバムの聞き応えが十分なことで容易に察しがつく。是非探して聞いてみましょう。

クサレポイント

で、カナダ時代以降、"Try Again"と題してアルバムを製作したのは、ユーゴ時代の活動をもう一度頑張ってみようという意味も込められていたのかもしれない。"Try Again"ではこのオリジナル1stアルバムから6曲が再レコーディングされているのである。



REVENGE / Rhapsody From Brontoland / 1990

バンド名買いしてしまったブラジルのバンド。しかし、このアメコミ調のジャケットはちょっとハズレかなぁと思いつつ聞いてみるとこれがなかなかの拾いものだった。導入部の"Phapsodys Overture"は様式系のメロで覆い尽くされ、以下に続く曲も、ハロウィン影響下の、スピード&メロディ爆発メタルを聞かせてくれる。聞いて損はないので見かけたら、ジャケットは無視して財布の許す範囲で保護しておきましょう。

クサレポイント

このアルバムをリリースしたのは同じブラジルの"Heavy Metal Maniac Record"。そう、レーベル名買いでも正解なレコードだ。