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KILLER / Lady Killer / 1981

KROKUSを産み落としたスイスで、当時彼らについで二番手だといわれていたのがこのKILLER。しかしその間は果てしなく広かった(笑)。で二番手の音はどんな風だったのかというこれがまたKROKUSそっくりだから笑える。とにかくタテノリ命でキンキンのハイトーンが耳に痛いのだ。しかしながらライヴで本領を発揮するバンドだったようで、鉄球付の足かせまでつけた囚人服のコスプレで客を沸かせるギタリストの Crown Kocherのパフォーマンスなど、話題の多いバンドであった。

クサレポイント

そんな彼らのアルバムはタテノリがメインの曲がほとんどであるが、いつも1曲だけ泣き泣きのバラードが入っている。本作では"Crtstal Butterfly"がそれだが、これがまた胸に迫る名曲なのだ・・・。



KILLER / Thriller / 1982

前作と同じノリでレコーディングされているが、本作はなんと言ってもBrian Johnson加入直後のAC/DCとウリ二つだ! 各曲とも足りないのはエンディングの大砲の音ぐらいのものだ。"Back In Black"や"For Those About to Rock We Salute You"アルバムが好きな人なら買って損はない。

クサレポイント

本作にも突然変異的に泣きのバラードは収録されている。ラスト曲の"Prisoners Of The Night"。それまでのAC/DC節がうその様に掻き消えてメロディ爆発なバラードが堪能できるのも楽しみの一つだ。



KILLER / Stronger Than Ever / 1984

前作で既にAC/DCクローンとしての完成型を提示してしまった彼らの、続くアルバムはどのようなものだったのか。そう、もうこれは必然的に、この3rdアルバムでは過去に確立させたタテノリロックを捨てて、正統派メタル道まっしぐらなのだ。だってこのジャケットだから、聞かずとも音が見えてくる。ドイツの名門であるRock Portからのリリースの本作は知らずに聞くとマイナーなジャーマンメタルかと思ってしまうことだろう。イントロダクションに続く"Stronger Than Ever"、前作のラスト曲が本作の布石だったのかと考えられる泣きのメロギター大爆発の劇的バラード"Stay With Me"に代表されるようなツインリードの美があちこちにちりばめられた本作は一度は聴いておきたいアルバムなのだ。

クサレポイント

レコーディング前にバンドの顔であった囚人服のギタリスト、Crown Kocherが引退してしまい、新しくJan Van Crowが加入した。驚くことにこの男が次作では一躍バンドリーダーとなるのであった。



KILLER / Young Blood / 1986

3rdアルバムリリース後、MOTORHEADとのツアーがキャンセルになるなど、いろいろな不幸に見舞われた末、バンドは空中分解的に解散してしまった・・・かに思えたが、前作で加入したギタリスト、Jan Van Crowが一人奮起しKILLERの立て直しを図る。自分以外のメンバーにスイスの新人ミュージシャンを集め、オリジナルメンバーが全く在籍しない形のKILLERを再結成。で完成したアルバムが本作だ。古くからのKILLERファンは嘆いたであろうことは裏ジャケを見ただけでも想像に難くない。前作本作でなんでこんなにルックスに差があるのだ(笑)。リリースはドイツのSCRATCHレーベルから。KILLERの4作品のなかで残念ながら最も評価は低いが"Heavy Metal"ってタイトルの曲があるのはマニアの頬も緩むことだろう。しかし内容は評判どおりなんの変哲もないハードロック。

クサレポイント

で、本作に参加しなかったオリジナルメンバーはどうしたのか。ベーシストのBeat "Tiger" KofmehlはCHINAへ加入、"Sign In The Sky"アルバムに参加している。ギタリストのMany MaurerはスイスのHEADHUNTER、CHRIS VON ROHRバンド、KROKUSと活動の幅を広げるなど、結構世渡り上手な人たちだったりする。で、2002年にはオリジナルメンバーで復活、ライヴも予定されているらしい。