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FAITHFUL BREATH / Fading Beauty / 1973 彼らの初期の音源でもあるのだが、自主製作でみずからを「FB」と表記してリリースされた本作は完璧なプログレッシヴ・ロックアルバムである。そう、彼らは70年代ユーロロックの分野でデビューしたのだ。本作はA面1曲・B面1曲の全2曲で、A面は12分と10分とに分かれる2部構成のインストゥルメンタル、B面は21分という構成。全編ともすべてメロトロンとハモンド主体の、ジェネシスを田舎モノにしたようなドンくさいメロディが中心となり、それを囲むようにピンクフロイドのDavid Gilmourを思わせるトロンとしたリードギターと、ソリッドなベースが被さっている。時にはKAYAKやSEBASTIAN HARDIEばりのメロウな展開を見せるかと思いきや、B面のところどころに垣間見えるジャーマンロック特有の実験的なアシッドっぽいプログレなど、実に変幻自在。しかし、悪く言えばまとまりに欠ける作品だ。 クサレポイント つまり、手っ取り早くいえばこれは全然メタルではない。でも私は好きだ。だってクサレプログレなのだから(笑)。 |
FAITHFUL BREATH / Back On My Hill / 1980 またもやハモンドとメロトロン爆発プログレ作品で、全4曲、B面などは16分ぶっ通しの大作。少しハードな仕上がりであるから前作よりも聴きやすい。そのB面で聞けるキーボードソロ、ギターとのかけあいは、70sハードロックマニアにはたまらないだろう。しかし基本はプログレであるので、やはりストレートなハードロックを期待してはいけない。おなじみのバンドロゴマークはこの作品から。 クサレポイント しかし、1980年とは思えないくらい70年代初期〜中期の作品のような雰囲気を持つアルバムだ。キーボードがメインでプログレ基調のハードロックであり、よく言えばLONE STAR、URIAH HEEP、MARINERSといったバンドの音に近い。リリースはドイツのサイケ〜ハードロックのレーベルとしてマニアには名高いSky Recordsだ。 |
FAITHFUL BREATH / Rock Lions / 1981 そして・・・前作から一年しか経っていないのに、本作を持っていきなりハードブギーな世界へ転向してしまった彼ら。このジャケットが既にもうシンフォニックプログレでないことを語っている。まるっきり、180度回転! しかしなんて格好だ、あの小さなヴァイキングのビッケも真っ青の、驚きの史上最初のヴァイキングメタルだ。このジャケット、なんだか゛「ヴ、ヴェェェ〜ッ!」って叫んでいるように見えませんか! ああ、帽子にツノがはえてるよ〜! 本作ではそれまでメインだったキーボードとボーカリストが脱退して3人組となり、誰にでも分かりやすい、ちゃんと一番、二番の歌詞があってソロがあって、というスタイルのロックになった。リードボーカルはギタリストのMikusの仕事になっている。今後このバンドは彼がリーダーとなるのだった。アルバムリリースは前作と同じSky Recordsだ。 クサレポイント しか〜し! これがまたつまらないアルバムだ・・・。印象に残る曲はなく、ブギー主体のハードロックでギターひとりゆえ、さすがに音の薄さは隠せない。オープニングの"Hurricane"はずっこけロックだが、アルバムを聴き終えて結局メロがはっきりしてるのはこの曲だ。希少盤ゆえ、目にすることはあまりないだろうけど、大枚はたいてまで聴く価値はないだろう。でも、いっとくけどこのジャケットは素晴らしい(笑)。 |
FAITHFUL BREATH / Hard Breath / 1983 前作同様、3人組でヴァイキングな格好のFBであるけど、やはりまだ煮え切らないハードブギーな音作りだ。もちろんプログレではないが、ハードロック以上ヘヴィメタル未満。それでも"Dark Angel"で聴けるスリリングなハードロックは彼らの未来をほんの少し示しているような気がする。この曲は押さえておいて損はない。あと、ラスト前の"Fly To Another Star"もエンディングが笑えて楽しい。 クサレポイント この格好だから聞き手は期待してしまうのか。ボーカルスタイルはハードロックなのだが、曲のメロディはややポップだ。このギャップが逆に新鮮ということで当時は話題であったのだ。Sky Recordsでのラスト作となった。 |
FAITHFUL BREATH / Gold'n Glory / 1984 その昔、一度聞いただけでは内容の良さが分からず、何度も何度も聴きなおしてみて、だんだんと耳に馴染んで、いい作品だなぁと思えるアルバムのことを「スルメ的アルバム」と言った。噛めば噛むほど味が出る、のたとえである。本作はその「スルメ的アルバム」だと言える。プロデューサーにMichael WagenerとACCEPTのUdo Dirkschneiderを迎え、ドイツからベルギーに渡ってあの素晴らしい^^; Mausoleum Recordsからのリリース。完璧にプロデュースの勝利だ。ギタリストが一人加わり、ツインリード体制の4人組になったFBは、やっとこさ音が格好に追いついて、JUDAS PRIESTタイプのメタルに変身している。"King Of The Rock"、"Jailbreaker"と"Gold'n Glory"は必聴モノだ。コンサートではみんなでサビを大合唱、歯ぐき丸出して歌うヴァイキング帽のMikusの姿が目に浮かぶ。 クサレポイント ここには1曲、泣きのバラード、"Million Hearts"が収録されているが、これがまた胸に染み入る名曲だ。しかし、この泣ける名曲もやはりこの格好 で演奏されるのだろうか。 |
FAITHFUL BREATH / Skol / 1985 いざこざが原因でMausoleum Recordsと袂を分かち独立したプロデューサーのStonne Holmgrenは新たにAmbush Recordsを立ち上げ、FAITHFUL BREATHをMausoleum Recordsから奪い取って^^;レーベルの第一弾アーティストにした。前作が曲の出来、プロデュースともに申し分のないメタルであったのに対し、こちらのアルバムはプロデュースの面でやや弱い。こじんまりとしたソツのないメタルという印象はぬぐえないだろう。しかしながらB面は素晴らしい出来栄えだ! "Crazy In Metal"や"Backstreet Heros"などの熱い真のメタルチューンもさながら、海賊用語で「乾杯」を意味するラストの"Skol"では、ヴァイキング音階とでもいうのだろうか、北欧演歌ともいうべきクサクサなメロディか爆発、もう涙なくして聴けはしないのだ。B面だけ聴け!。 クサレポイント しかし、ヴァイキングにこだわる男だ。かつてはメンバー全員があの帽子だったのに、メンバーチェンジを幾多も重ねてもオリジナルメンバーであるギタリストのMikusはひとり未だヴァイキング帽を脱ごうとはしない。そんな彼に乾杯!なのだ |
FAITHFUL BREATH / Live / 1986 シンプルなタイトルが示すとおり、1985年のヨーロッパツアーのライヴアルバムであるが、収録された会場はベルギー、オランダ、ドイツと広範囲である。ヴァイキングのバーの音を取り入れたイントロに続くオープニングは"Gold'n Glory"。続く"Warriords"は未発曲ながらツーバス踏みまくる真性メタルチューン、かなりカッコ良いので是非聴いておきたい! ギタリストのThilo Herrmannのギターソロに続き演奏された"Jailbreak"はトリ肌ものだ。これこそ80s HR/HMの正しい姿だ。ということでこのアルバムでは"Hard Breath"から1曲、"Gold'n Glory"からなんと6曲と、ライヴにおいて、"Gold'n Glory"アルバムがいかに重要な作品だったかを物語るに足る内容だ。彼らの熱い演奏ぶりがよく伝わる名ライヴアルバムとして個人的にもオススメな一枚だ。 クサレポイント このアルバムは当時HELLOWEENやRUNNING WILDなどの、「どうしようもないドイツのメタルのバンド」を抱えていたNOISEからのリリース。 彼らもまた、その一員であった。愛すべき不器用なヴァイキングメタル。貫き通した彼らは、このライヴアルバムをもってしばらくの沈黙を続たが、数年後にはそのバンド名を「RISK」と改め、イメージも一新して、メロディとパワー、年寄りゆえやや足りないスピードを主体としたドイツ屈指のメタルバンドに生まれ変わる。しかし、さすがのMikusもこのRISKではヴァイキング帽は「過去」という押入れにでもしまったのだろう、それを被っている姿は見せることはなく活動を続けた。RISKの成功は嬉しい反面、当時はなんとなく寂しい感じがしたものだった・・・。 |
FAITHFUL BREATH - "Fading Beauty" 1973 |
Heinz Mikus |
Horst Stabenow |
Jurgen Weritz |
Manfred Von Buttlar |
Guitar / Vocal | Bass | Drum | Keyboard |
FAITHFUL BREATH - "Back On My Hill" 1980 |
Heinz Mikus |
Horst Stabenow |
Jurgen Weritz |
Manfred Von Buttlar |
Jurgen Renfordt |
Guitar | Bass | Drum | Keyboard | Vocal |
FAITHFUL BREATH - "Rock Lions" 1981 |
Heinz Mikus |
Horst Stabenow |
Uwe Otto |
Guitar / Vocal | Bass | Drum |
FAITHFUL BREATH - "Hard Breath" 1983 |
Heinz (Heinrich) Mikus |
Horst Stabenow |
Jurgen Dusterrloh |
Guitar / Vocal | Bass | Drum |
FAITHFUL BREATH - "Gold'n Glory" 1984 |
Heinz (Heinrich) Mikus |
Horst "Piet" Stabenow |
Jurgen Dusterrloh |
Andy Bubi Honig |
Guitar / Vocal | Bass | Drum | Guitar |
FAITHFUL BREATH - "Skol" 1985 |
Heinz (Heinrich) Mikus |
Peter Dell |
Jurgen Dusterrloh |
Thilo Herrmann |
Guitar / Vocal | Bass | Drum | Guitar |
FAITHFUL BREATH - "Live" 1986 |
Heinz (Heinrich) Mikus |
Peter Dell |
Jurgen Dusterrloh |
Thilo Herrmann |
Guitar / Vocal | Bass | Drum | Guitar |
RISK - Demo Tapes #1 & #2 1988 |
Heinz Mikus |
Peter Dell |
Jurgen Dusterrloh |
Thilo Herrmann |
Guitar / Vocal | Bass | Drum | Guitar |
RISK - "The Daily Horror News" 1989 |
Heinz Mikus |
Peter Dell |
Jurgen Dusterrloh |
Roman Keymer |
Guitar / Vocal | Bass | Drum | Guitar |
ANGEL DUST -> |
RISK - "Ratman" & "Hell's Animals" 1989 |
Heinz Mikus |
Peter Dell |
Jurgen Dusterrloh |
Thilo Herrmann |
Roman "Romme" Keymer |
Vocal | Bass | Drum | Guitar | Guitar |
RISK - "Dirty Surfaces" 1990 |
Heimi Mikus |
Peter Dell |
Jurgen Dusterrloh |
Thilo Herrmann |
Roman "Romme" Keymer |
Vocal | Bass | Drum | Guitar | Guitar |
-> HOLY MOSES -> RUNNING WILD -> GLENMORE |
RISK - "The Reborn" 1992 |
Heimi Mikus |
Peter Dell |
Jurgen Dusterrloh |
Christian Sumser |
Roman "Romme" Keymer |
Vocal | Bass | Drum | Guitar | Guitar |
RISK - "Turpitude" 1993 |
Heimi Mikus |
Peter Dell |
Jurgen Dusterrloh |
Christian Sumser |
Roman "Romme" Keymer |
Vocal | Bass | Drum | Guitar | Guitar |