Page 27


HEAVEN / Twilight Of Mischief / 1982

オーストラリアのバイカーズHR、HEAVENのデビュー作。アルバムジャケットのどこにも(背表紙にさえ!)記されていないが、このアルバ ムは"Twilight Of Mischief"がタイトルなのだ。 力ないボーカルスタイルではあるが歌は巧い。そういう点では安心して聞いていられるし 、曲もカッコ良いロックンロールを展開している。ギターは元ROSE TATOOというのもうなずけるノリだ。次作は日本盤で「暴力教室」とい う泣かせる邦題でリリースされている。

クサレポイント

B面トップの"In The Beginning"は、曲の節々に聴きなれたリフが飛び出してくる。"Smoke On The Water"、"Paranoid"、"Jumpin' Jack Flash"などなど。きっと自分たちのロックの起源について歌いたいんだろうなぁ。こういうノリはAPRIL WINEの"I Like To Rock"のアイデ アと同じで、聞いていて楽しいのだ。



GRUDGE / S.T. / 1986

知る人ぞ知るGrudge Recordsから、すばりレーベル名と同じ名前とロゴマークでデビューした4人組。ルックスよりももっと暑苦しいカル トメタルを聞かせてくれる。必ず激しい転調をみせる曲が多く、しかもなんだかヘンな展開が特長で、曲そのものはプログレがかった構成 ながら音は完全にメタルであるのはなかなか面白いのだけど、ボーカルが高音部でWASPのブラッキーのような声になってることや、打ち込み丸出しなドラムスの音には少しガッカリさせられる。

クサレポイント

このテのバンドは好きになる人と全くダメな人とに分かれるだろう。Tony Iomiがアイドルだという音を出しているギタリストの頑張りは認 めてあげたい。



BLACKSMITH / Gypsy Queen / 1985

後にMANDLAKE ROOTを結成するPer Englundの最初のバンドだが、その彼のボーカルが凄すぎる作品。素っ頓狂とは彼のためにある言葉だろう。 ドイツ人のような声質を持ちながら甲高いハイトーンは雲をも突き破る勢いだ。若さに任せて、というにはあまりに音のはずし方がツボを 得すぎている。タイトルチューンは必聴。大枚はたく価値はないとは思うが、是非レコードで聞いておきたい曲だ。Party Recordという安 っぽいレーベル名もマニアの心をくすぐる。

クサレポイント

キーボードもこのテの北欧系ではチェックポイントだが、BLACKSMITHもオルガンハードロックを聞かせてくれる。その音はこれまたチープ なオルガンの音で、聞くも者の涙を誘うのだ。



COBRA / Warriors Of The Dead / 1985

遅れてきたNWOBHM、COBRAのデビュー作。NWOBHMと聞いてたどり着いたマニアの耳を裏切らない、ストレートで実に正統なブリティッシュメ タルを聞かせてくれる。すなわち、ギターのリフが英国以外の何ものでもない典型的なNWOBHMで、ボーカルも安定しているし1曲が3 分台の曲ばかりで、ストレスなくアルバムを聞けてしまえるのは魅力。A面2曲目のバンドテーマ、"Cobra"を聞いて泣いてみて欲しい。

クサレポイント

このアルバムはマシンガン男のイラストでお馴染みのCriminal Response Records。このレーベルも要チェックだ。そして次作はあのEbony Recorsから。もちろん音は悪くなっている(笑。



BB ROCK / Make It Move ! / 1983

むさ苦しいルックスに頬も緩むスウェーデンの3人組。、バイクのエンジン音で幕を開ける1曲目にはSAXONあたりのバイカーズメタルを期 待してしまうが、肩透かし的なミドルテンポに少しがっかり。全体を包むトーンはブルーズロックであり、ルックスほどのコアなイメージを音の 中に見つけることは出来ない。んが、こういうブルーズを基調としたハードロックは、スウェーデンのバンドとしては珍しい。ボーカルも メタル声じゃないけど、個人的には嫌いじゃない一枚だ。

クサレポイント

バンド名の「BB」はあのBB KINGにあやかったのだろうか。しかし"AA"とか"DDDDDDDD"などの曲名は意味不明(笑)。ちなみにとってもダウン タウンブギウギバンドのようなリフなのは爆笑!



BREAKER / Dead Rider / 1985

ジャケットどおりの音が飛び出してくるドイツのクサレメタルだ。やはりメタルはこうでなくちゃ(笑)。オープニングが疾走系、オヤジ 声で猛々しく歌うボーカル、強引すぎるくらいにリズムをひっぱるギターと目をつぶって叩いているだろうドカスカドラムス。クサレが持 たなくてならないいろいろな条件(笑)をこのBREAKERは十分に持ち合わせている。

クサレポイント

暑苦しすぎる名曲"Born To Rock"を筆頭に、マニアには全曲オススメだ。どこかで聞いたことのあるようなリフがしょっちゅう出てくるの はクサレとして一級品であることを証明している。アメリカのBREAKERと間違えて買ってしまったとしても(笑)後悔しないようであればあ なたも立派なメタルマニアだ!



TALION / Killing The World / 1989

かつて"Chasing The Storm"という名アルバムを残したTROJANがその後リズム隊をメンバーチェンジし、バンド名を変えてリリースしたアル バムだ。そういう点でも事実上TROJANの2ndアルバムと言っても差し支えないだろう。もともとTROJANはギターのPete Wadesonのバンド だったし、このTALIONでもイニシアティヴを握っている。どの曲もTROJAN時代のストレートでパワフルなメタルを継承しつつ、よりソリッ ドでザクザクとしたギターが耳に突き刺さるのだ。入魂のインスト曲、"Speed Thrill"はシビれる。

クサレポイント

もともとNWOBHMのバンドであったTROJAN、NWOBHMが過ぎ解散寸前の状態であったのをリーダーだったPete Wadesonが苦労して立て直し、あの名作 を残した。バンド名を変えて本作をリリースした後も苦労は続き、90年代半ばぐらいまでは曲作りを続けたようだ。いい曲が多いのに時 代に恵まれないバンドという印象はバンドを変えてもぬぐえなかった。