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野獣 NOKEMONO / 地獄の叫び From The Black World / 1979

蔵出しでは珍しく日本のバンドを選んだ。日本のバンド、ってことだが日本語の歌詞が陳腐なのはこのコーナーではあえて触れないでおこう。「野獣」と書いて「のけもの」と読ませるバンド名がもはやクサレ合格(笑)。邦題もKISSあたりから頂戴したのだろう。この年代はちょうどNWOBHMが日本に伝来する前で、英国ではパンク全盛期、米国ではアメリカン産業ロックが産声をあげたころだが、このバンドはDEEP PURPLEをはじめとする英国のハードロックに影響をうけたであろうことは聞いてみれば分かる。音のチープさは残念なものの、込められた魂には熱いハードロックの血を感じるのだ。「閉ざされた街」のギターに悶絶!。

クサレポイント

知る人は少なくなってしまったバンドだが、1978年来日のJUDAS PRIESTの前座を務めたり、フランスのロック雑誌「エンファーマガジン」で紹介されたりと、当時話題になったバンドだ。日本でもデビュー前にはこのように宣伝されていたりする。
 ギターの「ローラ」こと中野重夫氏は、現在ジミ ヘンドリックスのトリビュートバンド、BAND OF SHIGEO ROLLOVERのリーダーとして活躍している。



SLOW BURNER / An Emotional Business / 1989

イギリスのバンドながらアメリカのバンドのような音を出している。聴きやすさでは充分合格。英国のバンドらしい湿り気も感じることができるだろう。ボーカルのPaul Bridgewaterはこの後RADIO MOSCOWに加入した。

クサレポイント

けっこうあちこちのカタログにも載っているし、音作りもメジャー志向ながらほとんど話題にならなかったバンドだったように思う。決して悪くない作品なのに。



ATC / Cut In Ice / 1984

なんとVertigoからリリースされた彼ら唯一のアルバム。スウェーデン出身なので北欧メタル関連でよくその名を見かけるが、音的にはおとなしめのNWOBHMといったところ。器用に聞き手のツボを刺激するギターのMappe Björkmanは、後にCANDLEMASSに参加した。

クサレポイント

バンド名のATCとは"Above The Clouds"の略らしい。関西人にお馴染みの、「アジア・トレード・センター」ではありません、念のため。



DARXON / Killed In Action / 1984

わはは、持ってないと思ったらしっかり持っていました。当時買ったまま忘れてしまってたのだろうか、しかし、こうして改めて見てみると、ふつふつと沸く疑問・・・どうしてこんなジャケットなんだろう(爆笑)。ダークソン君、「んがぁ!」とでも叫んでいるかのようだ。内袋はラーメンみたいだし。しかしながら微笑ましいこのジャケットは多くのマニアの心をとらえて離さないのだ。さてさて、二の次となってしまった音の方は、Wishbone Recordsのアーティストらしく、リフを中心としたジャーマンメタル。ボーカルはヘロヘロ、似たようなフレーズばかりのギターなどなど、それでも何故か最後まで聞いてしまう不思議な魅力のあるアルバムだ。

クサレポイント

元STEELERのメンバーが入ったりしてこの後も活動は続けられたが、音楽性も散漫になってしまって、やはりこのアルバムのインパクトを超えることはできなかった。



MASS / Back To The Music / 1976

なんだぁ、レッキとした70年代のアルバムなのでもちろん70年代ロックだ。蔵出しにしてはジャンル違いか。いやいや、このイントネーションに気をつけなければならない(笑)MASSは、後に「アルバムジャケだけはカッコいい」バンドとして80年代メタルを強引なマイペースで突っ走るあのMASSであり、これは彼らのデビュー作だ。次作もこのようなアルバムだが、3作目以降にメタルファイターなバンドへ変身するのである。

クサレポイント

ドイツのバンドとは思えないほどブリティッシュしているアルバム。ブギーを主体とした音作りはやはり70年代のハードロックそのもの。しかし"Living In My Hometown"のような、初期〜中期JUDAS PRIESTを想像させる曲もある。