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GEDDES AXE / Escape From New York / 1982

NWOBHMでシングル盤バンドだったGEDDESS AXEが残した3曲のみの12インチシングル。今の時代ではなんだか生々しいタイトルだ。それまでの2枚の7インチ盤からボーカリストが変わっている。BABY TUCKOOやHERITAGEといったバンドと交流があったことでも分かるように、NWOBHMバリバリのバンドであってその中でもメロディアス路線なアーティストだ。ギターが2人いて、その彼らがNWOBHMらしいクサいギターを聞かせてくれる。NWOBHMの良心、ともいえるその音は一度は聞いておきたい。

クサレポイント

この人はドラムスなんだが、なんだかイカサマ師のような微笑は私の胸を打つのだ(笑)。



TOX / S.T. / 1986

デビュー作の"Princess Of Darkness"がMausoleum Recordsからリリースされてそれなりに人に名が知れたバンドとなった、Sl RecordsからのTOXの2ndアルバムだが、こちらは人知れないアルバムとなってしまった。基本的には前作同様のメロディアス路線だが、バラードのデキはなかなかだけど的の絞りきれないメジャー路線はちと悔やまれる。

クサレポイント

このときのメンバーはなんとギターとドラムスの2人だけ。実際はギターのWerner Dannemannのスタジオバンドのような編成だ。



KARTHAGO / S.T. / 1981

知る人ぞ知る、という表現がぴったりなハンガリーの怪人ハードロック。どうして怪人なのかというと、こんな格好をしているからだ。いやぁ、マントですよ、マント。
70年代のハードロックを重くひきずった音作りで、ポップな曲もあるけれど、たいていの曲ではURIAH HEEPっぽいメロディが顔を出す。このハモンドオルガンの音はまさしく70年代の音であり、かなり琴線をくすぐられるのだ。

クサレポイント

このジャケットの象さんはお茶目だが、目から光線を発しているのが凄い。でオープニングとエンディングにも象の吼える声が収録されている。



KARTHAGO / Ezredfordulo / 1982

基本的に前作の路線だが、ギターのエッヂが少しハードになり、よりハードロックな音作りになっている。ハモンドオルガンも相変わらずご機嫌さんに鳴りまくっていて一安心。曲によってはややポップ、ファンキーかなというのもあるけど、期待は裏切らないだろう。ボーカルは女性かと思ってしまうほどカン高い声質だ。

クサレポイント

象さんもメタル化しているのは笑える。アルバムのオープニングにもしっかり象さんの咆哮が収録されているがやや迫力不足。「パァオ〜ンンッ!」と派手にやって欲しいものだ。



KARTHAGO / Senkifoldjen / 1984

彼らの三作目は大人のロックといった感じになってしまった。スケールの小さなボストンみたいな曲もある。それはキーボードがハモンドを鳴らす機会を減らしてシンセサイザーに走ってしまったから、曲に攻撃的な部分がなくなってしまった印象をうけるのだ。ボーカルは相変わらずのハイトーンだけど、オシャレな曲には向いていないだろう。ルーツを呼び覚ます、熱いハードロックは数曲しかないのが残念。

クサレポイント

メンバーに変わりはないものの、怪人スタイルもなく普通の人になっている。それでもどこか普通には見えないのが隠された魅力なのだろうか。