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VANADIUM / Metal Rock / 1982

この愛想ないジャケットとタイトルのアルバムから彼等がイタリアで一番のハードロックバンドになる歴史がはじまった。イタリアのディープパープルとよばれた音楽性はこの時点である程度完成している。ハモンドが終始鳴っているのは嬉しいところだ。まだ70年代を軽くひきずったギターの枯れたメロディも味わい深い。

クサレポイント

後にMausoleumからもリリースされているが、インサートがあるオリジナルのイタリア盤のほうがお買い得だ。



VANADIUM / A Race With The Devil / 1983

このアルバムを聴き終わると、前作がこのアルバムの布石だったことが改めてよくわかる。この時期にこれだけのアルバムをイタリア国内だけでリリースしたのは実にもったいないことだった。WHITESPIRITや初期LIONHEARTに通ずる良質なNWOBHMのニオイがするアルバムだ。とくにB面の"Outside Of Society"と"Russian Roulette"の流れとキーボードソロは完璧だ。キメででしゃばるハモンドではなく、終始バッキングに徹しながらもソロでも涙腺を刺激するメロを叩き込んでくれる。亡きBon Scottに捧げた"Fire Trail"やライヴでも重要なレパートリーとなる"Get Up Shake Up"、"A Race With The Devil"などの曲も収録したこのアルバムは彼らの出世作となったわけだが、それ以上にこのアルバムは世界のマニアにうったえかける力に満ち溢れている。聞き逃すのはもはや罪だ。

クサレポイント

こちらもまたMausoleumからSKULLナンバーでリリースされている。これだけの作品をヨーロッパ全土に知らしめたMausoleumの仕事も凄いものだ。でもイタリアオリジナル盤にはやはり歌詞カードもあるし、このあと恒例となるPino Scottoのファンにあてたメッセージも記載されているのでそちらを入手するのがいいだろう。



VANADIUM / Game Over / 1984

前作から加入したレフティーなギターの仕事ぶりが素晴らしい。アルバム前半はキーボードを押しのけて弾きまくっている。バンドもかなり余裕の出た演奏ぶりで、それは手抜きという意味ではなく、緊張感が溢れた中にも聞き手の興味をくすぐる音が詰まっているのだ。前作NWOBHM路線を推し進めながらもさらにステップアップした作品になった。そして中盤以降のキーボードの仕事はもはやこのバンドのウリとなっていて、素晴らしいソロを聞かせてくれる。北欧メタルにもDP系なバンドはいっぱいいるよと思う人たちは悶絶インスト曲の"The Hunter"を聞いて吹っ飛ばされてみよう。

クサレポイント

若干高い音では不安定になるボーカルではあるが、魂で唄うタイプの人だから許してあげよう。SAXONのBiff Byfordみたいなルックスだけど、タイプ的にはやはりBon Scottだ。



VANADIUM / Live On Streets Of Danger / 1985

1984年のツアーの模様を収めたライヴアルバム。最初の1曲だけスタジオテイクな新曲なのはちょっと余計だ、と思えるくらいライヴ音源の方は熱い魂が伝わる素晴らしい出来だ。選曲もこの時点でのベスト・オブな内容で聴き応え満点。曲のみならずMCまでもすべて英語なのは彼らの「ワールドワイドで勝負がしたい」という意気込みが伺える。名曲の"Get Up Shake Up"、War Train"から"We Want Live Rock'n Roll"への流れは完璧だし、"Fire Trail"でBon Scottの名を連呼するPino Scottoにも胸は熱くなる。このアルバムをもって彼らのメタルは完成したと言える内容だ。

クサレポイント

なによりこのジャケットがイイじゃないですか! 鋲のリストの男たちの拳が交わるという、メタルそのものなイメージ。彼らのアルバムにはたいていスパナが登場するのだが、バンド名と関係するのだろうか。



VANADIUM / Born To Rock / 1986

不動のメンバーでリリースされた5作目も相変わらず余裕でガンガンとハードロックやっていますといった感じだ。ほんの少しメロディックな路線に転じたかな、という曲もあったりする。この時期のイタリア国内のTV番組にライヴ出演していた彼らを観たことがあるが、やはり半ばバラードっぽい曲をメインにしていたような気がする。しかしデビュー作からそうだが、B面のデキが特にイイ!という評判はそのままで、インストの"Ridge Farm"や、ついにやってしまったDPのカバー曲"Never Before"の仕上がりが素晴らしい。スピードチューンはお馴染みのハモンドオルガン鳴りっ放しとギター弾きっぱなしが堪能できる。

クサレポイント

VANADIUM史上では一番地味なアルバムではあるが、前作までのバンドとしての完成した姿をどう発展させていくのかを考えて聞くとなかなか興味深い。"Still Got Time"のようなポップな曲はこれまでの彼らにはなかったタイプの曲だ。



VANADIUM / Corruption Of Innocence / 1987

裏ジャケのような表ジャケだなという印象を持つアルバム。でも裏ジャケもこれなので納得^^; この作品もやはり突っ走るばかりでない曲作りが気になる。「気になる」人もいれば「メロディックになった分聴きやすい」という評価を下す人もいるだろう。個人的には彼らのことを一番最初に知ったのが本作なので好きなアルバムではあるのだが、ハモンドの音色以外のものを弾きすぎているのか、ギターの音が変わったからなのか、少しずつ初期のパンチは薄れていっているように感じる。でもイタリアのメタル王としての面目は十二分に保っていて、ガッツ溢れる(死語か!?)メタルアルバムとして余裕で合格点ではある。"Talk Of The Town(いいタイトルだ^^;)"にかつての荒々しさを聴くことが出来る。

クサレポイント

Peno Scotto以上にバンドの音となっているキーボードは ルックスまでJon Lordになってきているのには笑える^^;



VANADIUM / Seventheaven / 1989

まんなかの"h"をだぶらせたタイトルにしているが、本作が7作目であることにひっかけたタイトルだ。"Natural Bone Loner"などの曲で分かるように、ここではかなりメロディックな路線をとるようになった。これはやはりキーポードのRuggero Zanoliniの音使いによるところが大きいように感じる。イタリアでデビュー以来、すべて英語で唄ってきた彼らには常に広い舞台での活躍を目指したという自負もあったのだろう。この時代ではMTVなどは全盛期をやや過ぎていたと思うが、それでのオンエアを思わせるメロディがチラホラするのだ。もちろん良質なハードロックではあるのだが、ややオシャレな音になってしまった感もある。メロディック派には万歳!なアルバムだろう。

クサレポイント

タイトルチューンは別題に"Ruggero's Theme"つけられているように、キーボードのための1曲だが、映画音楽のようなそのインスト曲につながる"Bad Attitude"は往年のVANADIUM節が爆発だ! もちろんハモンドでガンガン攻めてくれるから、やっぱりこうでなくっちゃと唸ってしまうのだ。



VANADIUM / Nel Cuore Del Caos / 1995

1992年のPino Scottoのソロアルバム(つまらないから聞かなくてもよいと思う)と、1994年にPino ScottoとLio Mascheroniが参加した企画ものバンド「PROGETTO SINERGIA」が間にはさまるが、彼らの8作目となる本作は実に6年のインターバルが空いていた。実質再結成的なアルバムであるが、メンバーは不動だ。よって演奏は巧すぎるぐらいで、安心して聴ける。さて気になる音の方だが、部分部分に基本は原点回帰で荒々しさが伺えるが、ところどころ今風のオシャレなメロディも顔を覗かせる。タイトルも歌詞もすべてイタリア語だし、やはり自国のファンを大事にし続けた結果なのだろう。CDとはおもえない音の悪さは個人的には嬉しい^^;

クサレポイント

Brian Adamsの"Summer Of '69"のカバーがあるが、トホホ、これまたあまり意味のないカバーではないだろうか・・・。









VANADIUM - "Metal Rock" 1982
Pino
Scotto
Claudio
Asquini
Ruggero
Zanolini
Domenico
Prantera
Lio
Mascheroni
Vocal Guitar Keyboard Bass Drum



VANADIUM - "A Race With The devil" 1983
Pino
Scotto
Stefano
Terrarin
Ruggero
Zanolini
Domenico
Prantera
Lio
Mascheroni
Vocal Guitar Keyboard Bass Drum



VANADIUM - "Game Over" 1984
Pino
Scotto Di Carlo
Steve
Tessarin
Ruggero
Zanolini
Mimmo
Prantera
Lio
Mascheroni
Vocal Guitar Keyboard Bass Drum



VANADIUM - "Live On Streets Of Danger" 1985
Pino
Scotto Di Carlo
Steve
Tessarin
Ruggero
Zanolini
Mimmo
Prantera
Lio
Mascheroni
Vocal Guitar Keyboard Bass Drum



VANADIUM - "Born To Fight" 1986
Pino
Scotto
Stefano
Tessarin
Ruggero
Zanolini
Mimmo
Prantera
Lio
Mascheroni
Vocal Guitar Keyboard Bass Drum



VANADIUM - "Corruption Of Innocence" 1987
Pino
Scotto
Steve
Tessarin
Ruggero
Zanolini
Mimmo
Prantera
Lio
Mascheroni
Vocal Guitar Keyboard Bass Drum



VANADIUM - "Seventheaven" 1989
Pino
Scotto
Steve
Tessarin
Ruggero
Zanolini
Mimmo
Prantera
Lio
Mascheroni
Vocal Guitar Keyboard Bass Drum



VANADIUM - "Nel Cuore Del Caos" 1995
Pino
Scotto
Stefano
Tessarin
Ruggero
Zanolini
Domenico
Prantera
Lio
Mascheroni
Vocal Guitar Keyboard Bass Drum