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PARASITE / S.T. / 1985

ベーシストがボーカルをとる4人組。この人はキーボードも担当しているがほとんど鳴らしていない。北欧メタルでこんなジャケなので、DEEP PURPLE譲りの様式美かと思いきや、NWOBHM直系の音を出しているのが個人的には嬉しい。アルバムリリース前にツインリード編成となったようだが大正解。ツインリードの醍醐味を泣きのメロディと共に味わえる。これがホントの北欧メタル、DEEP PURPLE〜RAINBOW路線ばかりが北欧メタルではないのだ!

クサレポイント

5曲入りのミニアルバムなので聞きどころも何も、あっという間に終わってしまうのだが、"Chalice Of The Soul"はかなり良いデキだ。ドラムスのJohan Billerhagはこの後HEXENHAUS〜MEMENTO MORIと渡り歩く。



WIZZ / Crazy Games / 1984

ここもまたベーシストがクサれなボーカルだが、PARASITEよりはまだまし。DEEP PURPLE影響下の北欧メタルで、そのテのバンドの中ではトップクラスだと思う。それは楽曲、演奏力ともに優れていて、DP影響下とはいえオリジナリティのようなものも伺えるから。数ある北欧メタルのなかで屈指のできである名曲"Wizz"、SILVER MOUNTAINと同じニオイがする"You're Not Alone"などの曲を聞かずして北欧メタルは語れないだろう。

クサレポイント

しかしこのジャケの女の人はセクシーだけど怖い顔だ。(^^ゞ。



LYNX / Caught In The Trap / 1985

ここはボーカルが専属だから安心して聞ける。これまたDEEP PURPLE路線だと言われているけど、DIO在籍時のRAINBOWや後期DPのような、ずいぶんと理屈臭い音も少し混じっている。1曲目がミドルテンポなのには驚かされるがそれがまた退屈な曲なのにはもっと驚く。まあそれでもアルバを通してハモンド主体のキーポードは鳴っているから勘弁してあげよう。

クサレポイント

トラが罠に掛かっている、というジャケットだが、近くで見ると猫にしか見えないところはこの作品をLPで買う意味があるところでもある(笑)。



PHOENIX / Say Goodbye / 1989

若くして亡くなってしまったFrancisco Lundbergの想い出に捧げられたアルバム。4曲のうち2曲が彼のボーカル、1曲が代わって加入したNAGASAKIのボーカルLarz Hjelm、1曲がインスト。バンド路線はほとんどDOKKENで、亡くなった彼には悪いがこのアルバムで輝いているのはインスト曲。「スウェーデン様式美系の北欧メタルをてっとりばやく言うとこんな感じです」ってのをそのまま演っていて、ツインリードで強烈なメロを叩き込む2人のギタリストの仕事が素晴らしい。

クサレポイント

少ないマテリアルをリリースするのに予算がなかったのだろうか、白黒ジャケはちょっともったいない。塗り絵でもどうぞ、なんて気の効いたシャレでも書いておいて欲しい。



START / ... En Hun Snyst Nu Samt / 1981

アイスランドのバンド、なんてあのフュージョン畑のMEZZOFORTEぐらいしか知らなかったけど、彼らはアイスランド初のハードロックバンド(と言われているらしい)。その作品はハモンドオルガン入りのメロディアスなものだ。まだまだ70年代を引きずったメロディで、音もやや隙間が目立つ。けれども曲中でリズムがよく変わることや、クサいニオイを放つヘンテコなメロディ(これは「アイスランド特有のメロディ」なのだろう、きっと! )は新鮮な感じを覚えるのだ。「北欧メタル」とは違うけど、なぜか安心してしまう不思議なメロディだ。

クサレポイント

その「アイスランドロック」を楽しめる曲として、バラードとアップテンポなハードロックを無理やりくっつけてヘンなメロディでつなげた"Sekur"は、聞き応えのあるなかなかの名曲だと思う。



OUTBURST / Strangers In The Night / 1986

ハモンドオルガン命のキーボード、Graham Bonnetタイプのリキんだボーカル、フィンランドのPoko Rekordsからのリリース、ということで隠れた名盤の要素は揃っていて、実際聞いてみるとこれが大当たりなのだ。5曲入りのミニアルバムながら実は捨て曲なし。聞き込めばますますホレてしまうアルバムだ。とにかくメロディアス、パワフル、琴線と涙腺を同時に攻撃、一度は聞かなくてはならない作品。

クサレポイント

この他にシングル盤のリリースがあったらしい彼らのことを調べても、実はあまりよく分からないのが悲しい。