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TARZEN / S.T. / 1985

バンド創設者のDanny PeyronelとSalvador Dominguezは、P39で紹介したBANZAIのメンバーだった人たちだ。アルゼンチン生まれのDanny Peyronelには、UFOに在籍し"No Heavy Petting"アルバムで名曲"Highway Lady"を残しながらも「神様」とウマがあわず脱退した、という輝かしくも悲しい栄光がある。後に彼の弟 Michel Peyronel のバンドであるRIFFにゲスト参加したあと、スペインに飛び BANZAIに加入してSalvador Dominguezに出会う。この2人がBANZAIを解散させた後、Michel Peyronelを呼び寄せ、GRAND PRIXのベーシストだったRalph Hoodを誘って結成したのがこのTARZENだった。BANZAIのメロディはSalvador Dominguezのものだったから、このTARZENにもそのエッセンスは受け継がれているわけで、基本的にはBANZAIの2nd路線だが、大きな違いは許容範囲の大きな聞き手しか相手にしてもらえなさそうなDanny Peyronelのリードボーカル。バンドテーマ曲の"Tarzen"は入魂の1曲。バンドはこの後、短期間のLawrence Archerの在籍を経て1989年に2ndアルバムをリリースし、まもなく解散した。

クサレポイント

TWISTED SISTERのサポートとしてアメリカツアーをするなど、メジャー級の活躍をした人たちなのでアルバムも探せばけっこう出てくるけど、このテのバンドの作品って「そのうちに買っとこう」と思ってるといつの間にか見かけなくなるものなので、今のうちに手に入れておくことをオススメする。BANZAIのメカニックな牛も強烈だったけど、こちらのメカニックな豹(?)もステキだ(笑)。



RED BARON / R'nR Power / 1987

シングル盤をリリースしていたバンドの全4曲のミニアルバム。元HEAVY LOAD, TRASH, YNGWIE MALMSTEENS RIGING FORCEといった人たちの集まりであるが、ありがちな80年代の北欧ハードロックといった感じに仕上がっている。強烈なメロなどは聞かれないので期待してはいけないが、演奏テクはそこそこなので安心して聞ける音ではある。"Razamanaz"はもちろんNAZARETHのカバー曲。

クサレポイント

チャーリーズエンジェルを想起させるこのテのジャケは好きだなぁ。



SPLIT BEAVER / When Hell Won't Have You / 1982

Heavy Metal RecordsからのリリースということでNWOBHMのカタログに必ず載っているバンドであるが、在庫過剰なのか中古でも値段が安いのがなんだか不憫に感じるバンド。恐ろしいバンド名はさておき^^;、ジャケのイラストだってこんなにステキなのにねぇ。さて音の方は、ストレートなロックンロールを基調としていて少し感じるスカスカ感がなんともマイナーくささを増長させている。ボーカルがもうすこしメタルな声質ならば中古市場の価格もあがったのではないだろうか。

クサレポイント

ということでHeavy Metal Recordsからのリリースでなければ単なるバイカーズロックということで片付けられていただろうことは想像に難くないのである。



GOGMAGOG / I Will Be There / 1985

ブリテン島に住んでいた巨人たちの統領で、「大地の全ての敵」という意味をもつ伝承上の巨人の兄弟の名であるGOGとMAGOGをバンド名にしたため、なんて読むのかわからないバンドとして有名になってしまった「ゴグマゴグ」であるが、実はPaul Dianno, Neil Murray, Jannic Gers, Clive Burr, Pete(r) WillisといったIRON MAIDEN関係の人たちの集まった企画バンドなのであった。ホントは GOG-MAGOGの伝説をテーマにしたフルレンスアルバムにする予定だったのを、バンド企画者でありプロデューサーでもあったJonathan Kingの興味がさめてしまい、3曲録音した時点でこのプロジェクトを完了させてしまったという噂がある。John EntwistleやCozy Powellらもメンバーにするといった話もあったようだがこちらもうまくいかなかったようだ。いずれにしろリリース枚数は少なくて今では珍盤らしいが当時はけっこう見かけた作品だ。A面の"I Will Be There"はRuss Ballardのカバー曲だ。

クサレポイント

ハードロック色の薄いポップな3曲は、やはりこのメンツでリリースする必要はあったのかと思わせられる出来具合だ。Paul Diannoはこのプロジェクトのことを「悪夢だった」と語っているが、ホント気の毒なことだ。



ALKATRAZZ / Young Blood / 1981

綴りが違うのでお気づきだと思うが、「アルカトラス」という名のバンドは、早弾きギタリストがいたあのバンド以外にもあるのだ。こちらのアルカトラスはNWOBHMのバンドとして知られているが、曲の端々にブリティッシュロックの良心ともいえるメロディが込められているので、単にNWOBHMというカテゴリーにしまっておくのはもったいないような気がする。あまり人に教えたくない名盤。

クサレポイント

オープニングの""Rockin' High"はあのLIMELIGHTを想起させる曲だ。彼らがもっとストレートなブリティッシュロックなバンドだったらきっとこんな曲をするだろうといった感じだ。



ALKATRAZZ / Radio 5 / 1982

前作のメロディックな部分はそのままだが、キーボードやコーラスを取り入れて少しポップな面も見せ、アメリカン産業ロックへの憧れがチラホラする作品。ハイトーンが伸やかなボーカルのCraig Stevensの仕事は相変わらず素晴らしい。"Long Time No Love"など佳曲が多いアルバムだ。

クサレポイント

"Blame It On The Night"はアメリカのFANDANGOのラストアルバムに収められていた曲。イギリスのバンドがアメリカのバンドのカバーをするというのも興味深いが、そのことが象徴するようにブリティッシュロックのニオイはやや薄れた作品となった。