Page 49


HELLANBACH / Now Hear This / 1983

久しぶりに聞いてみると、オッ、こんなにカッコいいバンドだったかな、と感じる作品があるが、このバンドがまさしくそれだった。 NWOBHM期にシングル盤とオムニバスへの参加を経てNeat Recordsからデビューしたイギリスの4人組。荒削りでストレートな音作りは正しいNWOBHMの音である。このテの音に理屈はいらないだろう。同レーベルのFIST、RAVENといったバンドの弟的存在だ。"All Systems Go"はNWOBHMの中でも名曲のひとつ。音数が多すぎるベースの丸い音やオーバープロデュース気味のギターの音はところどころVAN HALENへの憧れがちらつく。ディズニーの「おしゃれキャット」のテーマ曲なんぞをカバーしてるのはご愛嬌。

クサレポイント

オリジナルのNeat盤は黒ジャケだが、ご覧のSweden盤は白黒が逆で白ジャケになっている。



HELLANBACH / The Big H / 1984

このタイトルは、いや、もちろんそうじゃないことは分かってるんだけど、「とてつもなくスケベ」という風に思ってしまう^^;。「Big H」とはもちろんHELLANBACH自らのことを指している。ややポップに感じる曲やロカビリー調の曲など多少のオフザケが増えたが基本はやはりNWOBHMらしいハード、ガッツな野郎たちだ。こちらではELTON JOHNの"Saturday Night"をカバー。

クサレポイント

バンドはこのあと解散してしまうがギターのDave Pattonはギタリストとしてのキャリアを続け、1995年にはGlen Hughesのツアーメンバーに抜擢されている。お見事!



STATORS / ... Never Too Late / 1985

リリースは母国フランスのAxe Killer Recordsからだ。NWOBHMからの影響大な音で、NUTZとか、あのへんのサウンドに近い。ボーカルはそこそこ歌いこなせる人なので安心して聞けるアルバムである。ラスト曲の"Brainstorm"は彼らの前身バンドの名前で、思い入れもあって6分を超える大作となった。

クサレポイント

こんなルックスの人たちなので仲が悪かったのかどうなのか、アルバムリリース直後にはバンドからメンバーが次々脱退し、解散状態となってしまった。フランスのメタル界も狭い社会だったようで、ATTENTAT ROCKやSATAN JOKERのメンバーらと新しいバンドを作っていったようだ。



SENTINEL BEAST / Depth Of Death / 1986

Metal Blade Recordsからのリリースであるが、こちらもまたレーベルカラーどおりの音を聞かせてくれる。スラッシュの一歩手前で典型的なアメリカンパワーメタルだが、女性ボーカルというのがユニークだ。頑張ってダミ声を絞り出すDebbie嬢に拍手。コアなメロディを叩きつけるツインリードのうち、一人は日系人のようだ。"Maurir"、"Sentinel Beast"、IRON MAIDENのカバーである"Phantom Of The Opera"あたりの曲がオオスメ。

クサレポイント

このアルバムの後、ベーシストのMark SpencerはMETALLICAに参加のため脱退したJason Newstedの後釜としてFLOTSAM & JETSAMに加入、ボーカルのDebbie嬢はZNOWHITEを経て何故かスゥエーデンに飛び、女性スラッシュバンド(怖そう^^;)のメンバーになったらしい。



BAD LIZZARD / Power Of Destruction / 1985

オランダのバンドだが、ドイツのバンドかと思ってしまうくらいクサイメロディが染み付いているバンド。それでいてちゃんとパワーメタルなのだから、このテのバンドに弱い人は頬が緩みっぱなしになるだろう。強烈なメロを持ったツインリードってのはホントいいですなぁ。TRANCEやBRAIN FEVERから少しイモくささを取り除いたような感じだ。高音で「イャァァ〜ッ」を連発するボーカルも聞き手の血を熱くさせてくれる。

クサレポイント

こういうルックスなので、けっこう下積みがあって、トシとってから何とかアルバムリリースしました、てな感じですなぁ。いくつになってもこのポーズは基本です^^;



FARGO / F / 1982

FARGOはPeter Knornが1973年に結成したドイツのベテランバンド。SCORPIONSのMatthias Jabsが在籍していたことでも知られているが、ワールドワイドでの成功には至らなかった。本作は彼らのラストアルバムでギターはTommy Newton。ちなみにプロデュースは彼でなくPeter Knorn。もともとメタルな人たちではないので、このアルバムもいわゆるジャーマンくささは微塵もなく、どちらかというとアメリカンハードロックの味わいだ。Tommy Newtonの仕事は素晴らしく、やはり非凡な才能を感じる。ラスト曲の"Hard Attack"はそれまでの展開とうって変わって、メロが強烈なメタルのインスト曲。

クサレポイント

1984年にPeter KnornとTommy Newtonは自分たち以外のメンバーを一新する。元WILD HORSES、元SINNER、元TED NUGENT BANDといったツワモノたちをスカウトし、新しいバンドにVICTORYと名づけ、よりソリッドなハードロックとなってデビュー、その後の活躍は語るまでもないだろう。