Monopoleというベルギーのマイナーレーベルから「ELECTRA GLIDE」というタイトルのアルバムをリリースしたことのあるローカルバンド、MOTHERS OF TRACKのShortyとFat Leoが、元TRASH(北欧のものとは別のバンド)のベーシストだったSpookyと出会い、1980年に結成されたのがこのKILLERだ。その後国内のレーベルからアルバム製作〜リリースの契約をとりつけたものの、最初のアルバム「READY FOR HELL」の製作後にFat Leoが脱退、新ドラムスにDouble Bearをむかえ2枚目「WALL OF SOUND」を完成させた。
これを機にベルギーの新興レーベルMausoleum Recordsと契約し、コンピレーションアルバムへの参加、さらには3枚目となるアルバム「SHOCKWAVE」を製作した。Mausoleum Recordsでは、この3rdアルバム発売のために過去の2作品の版権を取り次ぎ、それらを相次いでリリースしました。カタログがSKULL8301とSKULL8302と、番号続きであるのもそういう理由があったからなのだ。
その後、大きなロックフェスティヴァルにも参加するなど活動は精力的に行っていたが、レーベルの衰退のあおりをくらってライヴアルバムリリースの計画がボツになるなど、ハードラックな日が続いた。しかし1990年に入ってMausoleum Recordsが再編されると彼らもまたアルバムをリリースし、往年のマニアを唸らせたのだった。
彼らの数ある魅力のうちで忘れられないのは、ヒステリックなボーカルスタイルのShortyと男臭いボーカルスタイルのSpookyとのダブルボーカルのバンドであったこと。3人というバンドとして最小単位を生かした、実にストレートでノーギミックなバンドだったのだ。
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A.
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Vocal & Guitar : Shorty
Vocal & Bass : Spooky Drum : Fat Leo |
記念すべきKILLERの第1作目。このタイトルチューンから輝かしいKILLERの歴史は始まった。以後の彼らの曲を代表するかのような単調なリフ、うなるようなボーカル、唐突なエンディングであっけにとられているうちに次の曲へと展開するところなど、どれをとっても完璧なキラー節。決してMOTORHEADそっくりなどと思ってはならないのだ。 |
A.
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Vocal & Guitar :
Shorty Vocal & Bass : Spooky Drum : Double Bear |
このアルバムでは前作に比べ音質が数段アップしている。(とはいえマイナーレーベルの中の話・・・) 曲の構成なども前作のほとんどの曲でみられたような、ひたすら突っ走る一辺倒から、少し複雑な展開を意識した仕上がりとなっていて、正統派パワーメタルの王道を進み出した感がある。 |
A.
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Vocal & Guitar :
Shorty Vocal & Bass : Spooky Drum : Double Bear |
事実上、Mausoleum Recordsでのファーストレコーディングとなったこのアルバムでは、さらなる正統派パワーメタルへの進化を遂げている。個人的にはこのアルバムがお気に入りなのだ。このアルバムのリリースにあたっては、JOE KLOCKなる人物がマネージメントからプロデュースまで、KILLERを管理していたようだ。 |
A.
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Vocal & Guitar : Shorty
Van Camp Guitar : Olaf Van Deuren Bass : Apache Drum : Double Bear |
KILLERとしての活動を停止せたのちにギタリストのShortyがプロジェクト的に結成したVAN
CAMPのアルバム。この作品はMausoleumではなく、傘下のCNR Recordsからリリースされた。"ex-Killer"、"Featuring
Shorty"の文字が踊る表ジャケにはフライングVのアームを握りしめるShorty本人の写真。そして裏ジャケにはドラムスとして参加したDouble
Bearの仁王立ちショット。ファンにはたまらないものだろう。 このアルバムのプロデューサーはMausoleum Records時代からのクサレ縁、Jos Kloek。また、Thanksのクレジットには"Good Old KILLER Crew"、 "Fat Leo、"Spooky"、"Peter De Windt"の文字が並び、レコード盤に針を降ろす前から胸が熱くなってしまうのだ。また、Shortyの名が本名の"Shorty Van Camp"とクレジットされていることも驚きの一つだった。 一曲目はタイトルから察することができるとおり、次曲への導入部的な構成でキーボードが静かに流れていく構成。少し長めなので、おいおい、音楽性変わっちゃったか〜と嘆く寸前に2曲目以降につながり、それからはもう、どこをどう切っても懐かしのKILLER節がテンコ盛り。やはりキタナい声はShortyのものだったと唸らざるを得ない独特のボーカル、これでもかと弾きまくる、少々メロディアスになったギター、以前にも増してドカスカなドラムス。Spookyがここに在籍していないのは残念だけど、これをKILER名義でリリースしてもおかしくない内容だ。VAN CAMPとバンド名を変更したのもSpookyへの友情の証だったのだろうか。 レコーディングの状態が良く、音質も数段アップしている。 |
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Vocal & Guitar :
Shorty Vocal & Bass : Spooky Guiter : Puppy Drum : Jan Van Springel |
Mausoleum RecordsがCDリリースを始めた1990年、そのカタログの一番は当然のようにKILLERだった。Shorty,
Spookyの2枚看板は再び交わり健在だったが、ドラムスはJan Van Springelという人物に代わっている。さらにギタリストとして
Rudy Puppy Simonなる人物も参加、なんとKILLERはツインリード編成となってシーンに戻ってきたのだ。 また、裏ジャケのスペシャル・サンクスにFat LeoとDouble Bearの名があり、メンバーではないものの友好な関係が続いてるように感じる。 ここで聞けるKILLERのサウンドは往年のKILLERファンには懐かしさを感じさせ、初めて聞く人にも正統派の真髄を見せつけるKILLER最終型、といったところ。一曲目などはツインリードのクサさを余すところなく振りまきながらも聞き覚えのあるあのダミ声、地声と裏声との境界線を突っ走るボーカルにはガッツポーズものだ。ほかにもMOTORHEADの「Ace Of Spades」に似るべくして似てしまったリフを持つ3曲目、セカンドボーカルがRUNNING WILDのRock'n Rolfをほうふつとさせる5曲目など、まさにKILLER節は健在なのだった。 |
A.
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Vocal & Guitar : Pol Van
Camp Guitar : Kris J. Dominique Bass : Luky Lusente Drum : Leon Kriekl |
さてさて番外編として、今では見かけないいにしえのアルバムを一枚載せておこう。 KILLER誕生前にShortyとFat Leoが加入していたMOTHERS OF TRACKの唯一と思われる音源がこれ。このジャケットアートには少々驚かされるのだが、音のほうも軽快なロックンロールが中心であり、KILLER節はまだここでは聞くことはできない。しかしながらB面の"I Got No Hope"や"I Fell〜"などの曲は、軽快なリズムながらもShorty (ここでは本名の"Pol" だ !)の弾きまくるギターが堪能できる良い曲である。ちなみにA-1はY&T、A5はBobby Womack (THE ROLLING STONEのカバーで有名)の、それぞれカバー曲となっている。 裏ジャケには若き日のShortyとFat Leoのレコーディング写真がアップされていて、これだけでも胸が熱くなるのである。 |
1980年に結成されたベルギーのパンクバンド、ONION DOLLS(凄い名前!)がこのCROSSFIREの前身バンドだった。
オリジナルラインナップの(Vo.)Peter De Wint (G.)Marc Van Caelenberg (G.)Rudy Van De Sjipe (B.)Patrik Van Londerzele (D.)Chris De Brauwer で発展的にCROSSFIREを結成、その後フランスのマイナーレーベルであるRAVE-ONレーベルのコンピレーションアルバム「METAL CLOGS」にHMバンドとして参加、さらに地元ベルギーのMausoleum Recordsと契約をかわしたのが彼らの歴史の始まりだ。
ボーカルのPeterの、KROKUSのMarcにも似た金属的な声と、バンドが作り出すパワフルでアグレッシヴなサウンドはベルギーにおいて絶大な支持を受け、ACCEPTやIRON MAIDENのツアー前座に抜擢されるなど、ベルギーのHMバンドとしても最も成功したバンドといえるだろう。
Peterはその後CROSSFIREを脱退、Mausoleum Recordsでの兄弟バンド、OSTROGOTHを経て90年代はMYSTERYというメロディアスなHMバンドに参加、MYSTERY脱退後も地元ベルギーで活動しているようです。
A.
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Member : No Credit |
CROSSFIREの1stは古代遺跡のような石積みの上にドクロのやしろが乗っかっているイラストのジャケットがすでにB級の雰囲気を持っていた。各曲ともデビューアルバムながらすでに完成された感があり、1曲目のようなパワーメタルもイイ感じだが、「Magnificent Night」のような、リズムの強弱にメリハリのついた曲などがこのバンドの魅力であった。 |
A.
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Vocal : Peter Guitar : Marc Guitar : Rudy Bass : Patrick Drum : Chris |
1stのドクロのやしろをアップにして反対方向から描いたイラストをそのままジャケットにしてしまったアルバム。おかげで、CROSSFIREといえばすっかりこの青いコントラストのイメージがついてしまった。 |
A.
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Vocal : Peter Guitar : Marc Guitar : Jacky Bass : Patrick Drum : Chris |
過去のボツ曲やスタジオライヴテイクを集めた変則的なアルバム。あまり出回らなかったようで、一時期プレミアがついていた。 A−1とA−2は2ndレコーディング時のセッション、A−3は1stレコーディング時のセッション、B−1とB−2はドイツツアーの音源、B−3は1stリリース以前にレコーディングされた曲のリミックス、となっている。オクラ入りとなった曲にしては、「Killer Queen」などはイントロのメロディが印象的な隠れた名曲なのだ。 |
A.
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Vocal : Peter Guitar: Marc Guitar: Jacky Bass: Patrick Drum: Chris |
なんとCROSSFIREのライヴアルバム。「Watch Your Ear , Save Your Neck!」のかけ声で始まるライヴはやはりスタジオでの演奏を上回るハイテンション、2ndアルバムのツアーの模様を収めたものだ。 1〜2曲目への流れは彼らのアグレッシヴさがいかんなく発揮されており、ライヴでの迫力がよく伝わってくる名作。 |