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Ebony Recordsといえばオムニバスレコード。初期と終末期に充実したオムニバスアルバムをリリースしている。

1982年の「Metal Fatigue」アルバムのリリースと同時にEbony Recordsはマイナーメタルを輩出するレーベルとして産声をあげた。以降、1983年にリリースされた「Metal Plated」アルバムのリリースまで主にオムニバスや7インチシングル盤のリリースを繰り返し、当時インディーズシーンで活動していた英国、フランスのバンドを中心にマイナーなメタルを積極的にプロモートしたのだった。

そのほとんどのバンドはレコーディング後、さしたる活動もなく消えていったものがほとんどだが、中にはシーンに残り、大手レーベルと契約を取り付けてワールドワイドなバンドに成長したグループもあった。Ebony Recordsの果たした役割は少なからず大きいものがあったと言えるだろう。




Metal Fatigue / Ebon1 / 1982

A 1 HEADHUNTER - Headhunter
  2 SAVAGE - Ain't No Fit Place
  3 HOT WIRE - Ain't Gonna Beg  
  4 SCHELL SHOCK - Steel Breeze    
  5 STRONTIUM DOG - Getting In From The Outside
B 1 J.D.Band - Too Late
  2 ASSASSIN - Lonely Southern Road
  3 INNER VISION - Stage Play  
  4 MODUS OPERANDI - Something Inside
記念すべきカタログナンバー1番がこのオムニバス。裏ジャケには「Ebony Records はロックバンドのプロモートのためのレコード会社です」の宣言文がありこのレーベルの役割を力強く示していたといえる。 
ジャケットには例の五芒星と文字以外にイラストはなくシンプルなものだった。アルバムプロデューサーはEbony Records所属のDarryl Johnston、ここに収録されているアーティストではSAVAGEがマニアの間では名の知られたバンドへと成長している。他にもHEADHUNTERの弾きまくるギター、SCHELL SHOCKの唸りまくるツインリードなどはNWOBHMそのものの音といえるし、 STRONTIUM DOGの70'sマインドあふれるアーシーなハードロックなどは一度フルレンスで聴いてみたいと思わせるものだった。




Metallic Storm / Ebon6 / 1982

A 1 MERCYFUL FATE - Black Funeral
  2 TANTRUM - You Won't Live Forever
  3 SCIMITAR - That's The Way I Want It
  4 TAROT SUTRA - The Fool        
  5 MEAN MACHINE - Gods And Devils    
  6 CONFESSOR - Secrets         
  7 JURY - Don't Go         
B 1 WELL FARGO - Helride   
  2 MERCYNARY - Not The Time     
  3 WIKKYD VIKKER - Super Rocker       
  4 PENTAPUS - Breakout         
  5 DETROIT - USA Lights        
  6 MOBY DICK - Can't Have My Body Tonight
Ebony Recordsのオムニバス第二弾。ここに収録されたアーティストの中で最も興味深いのはMERCYFUL FATE、この「Black Faneral」はRAVE-ONレーベルで彼らが残したものより以前の音源で、1stフルレンスアルバムである「Melissa」に収録された同曲とはテイク違いのものなのだ。
ほかにも、WIKKYD VIKKERは後にPRETTY WIKKYDとバンド名を変えてBoogieレーベルからシングル盤をリリースしているし、WELL FARGOもまたバンド名をATTILAに変え、デキのよいフルレンスアルバムを3枚ほど残し日本のメタルマニアにも知られた存在になるなど良質なパワーメタルバンドへと成長している。 MOBY DICKは英国の生んだ名ボーカリストMax Baconが在籍したバンドであり、彼の若い頃の貴重な音源となっている。また、CONFESSOR に在籍していたベーシストは後にCHATEAUXに加入することになる。 ジャケットデザインを担当した Lez Bradleyは次作のMetal Maniaxeでもジャケットを手がけている。




Metal Maniaxe / Ebon8 / 1982

A 1 UNCLE SIRUS - Midnight Rendezvous
  2 MAD AVENUE -Bad Girl      
  3 CHATEAUX - Young Blood    
  4 MADAME GUILLOTINE - Machine Gun     
  5 OMUN - Chosen One     
  6 MENACE - Hard Way      
B 1 TRO:JAN - Premonition    
  2 FALLEN ANGEL - The Man      
  3 MIRAJ - Trapped      
  4 ANGEL UNDERGROUND - New Life     
  5 CRY WOLF - Behind The Smile  
  6 STRANGER - Call Of The Wild  
  7 EMERALD - Deb      
1982年にリリースされたこのアルバムは裏ジャケにわざわざ「オムニバスとして3作目」の表記があった。ここで収録されたアーティストでは、CHATEAUXがのちにフルレンスを3枚リリースしそれなりの成功を収めている。またTROJANはこの後レーベルを移り「Chasing The Storm」というパワーメタルのお手本のような名作を残している。他にもCRYWOLFはあのStave Glimett の弟がボーカルをとるバンドだった。FALLEN ANGELはツインリードのバンド、メロディアスなこの曲はPRAYING MANTIS やTRESSPASSの世界に近いものを感じるだろう。
ちなみに私のこのホームページ、このアルバムタイトルから一部頂戴したのだった(笑)。




Metal Warriors / Ebon11 / 1983

A 1 SHY - Tonight      
  2 HIGH LEVEL - Devil's Gate   
  3 FLYTE - Oh For The Brains Of A Ludwig
  4 MITCHELL TROY - Playing Soldiers      
  5 WISH - Night Life         
  6 OMEGA - Blood Sacrifice       
B 1 SOLTILEGE - Cyclope De L'etang
  2 LYADRIVE - We've Got The Rock
  3 T.N.T. - Sorry            
  4 VORTEX - The Devil's Voice      
  5 SINNER - Destiny           
  6 RANDOM BLACK - Ophelia           
  7 BREEZE - Do You Want To Love Me   
ジャケットのイラストはこのあと多くのEbony Recordsアーティストの作品のアートワークを手がけることになるGarry Sharpeによるもので、彼の多くのイラストの中でも傑作なものである。
ここには13ものバンドの曲が収められているが、中でもSHYとSOLTILEGE はその後大手ディールと契約を交わしメジャーデビューを飾るにまで成長することとなるバンドだ。SHYの「Tonight」はのちのフルレンスアルバムに収められた曲とはテイク違いなのが興味深い。HIGH LEVELはスウェーデンのバンドながらいわゆる北欧くさいメロディはなく、まるっきり英国産の音であり、SAMSONあたりに似た感じの曲になっている。FLYTEはスコットランド民謡を思わせる旋律を持っており、そのクサさでは日本人にはたまらない曲を披露している。OMEGAはキーボード入りで70'sブリティッシュプログレハードっぽい曲、初期のUFO、SCORPIONSを思い出させる音であった。ラストのBREEZEは何故か場違いなロックンロール、こんなグラムな曲もたまにはいいのかもしれない。




Metal Plated / Ebon14 / 1983

A 1 DEMON EYES - Les Deux Maudites       
  2 BADGER - The Traveller         
  3 COMA - All In The Name Of Rock And Roll
  4 BLASPHEME - Jehova             
B 1 VULCAIN - Vulcain            
  2 DOUBLE AGENT - Madman             
  3 STEEL WINGS - Live Your Life         
  4 STALLION - Don't Wait Too Long      
このアルバムは黒地に文字だけというシンプルなもので、収録されている8つのバンドのうち3つがフランスのバンドだった。DEMON EYESはこのあとフルレンスをリリースしたのちレーベルを移り数枚のアルバムを残している。BLASPHEME も後にアルバムをリリース、これがなかなかの名盤だった。また、VULCAINはモーターヘッドタイプのパワーメタル、自国のマイナーレーベルであるDevil's Recordsからアルバムをリリースするなど後々まで活動を続けたグループであり、そんなバンドたちのデビュー直後の貴重なテイクが収められたことでこのオムニバスの価値は高い。




Rock Meets Metal Volume 1 / Ebon104 / 1987

A 1 STRANGER - Tokyo Road       
  2 CIRCUS - Down And Out         
  3 E.S.T. - S.O.S.
  4 TEACHER'S PET - Could have Been Love
  5 APRIL 16TH - Thursdays Child
  6 ST. VALENTINE - Always Together
  7 TOMB - Dungeon Gates
  8 MASQUE - Going Home
B 1 SPELLBINDER - Babylon By Night            
  2 CHARLIE MOUSE - Get Up And Party             
  3 CRASH DIET - Stagetruck         
  4 ROULETTE - Who's Crying      
  5 DARK CRUSADE - Lady In Black
  6 PARADISE LOST - Watch The Spider
  7 RAM - Eternal Grave
  8 SWEET CYANIDE - Natural Born Loser
レーベル後期〜終末期のリリースもので、全16曲60分の良質なメタルがテンコ盛り。1987年という表記がウソだと思えるくらい、NWOBHMのニオイしかしないアルバムだ。MOTORHEADタイプのドカスカメタルから哀愁味溢れるイギリス特有のメロデイ爆発のメタルまで、この一枚で英国のB級クサレメタルは語れる。なかでもSPELLBINDERは全メタルマニアの必須科目!