Badfinger's Biography
イギリスのウェールズ地方出身の"The Iveys"(ジ・アイヴィーズ)は、Pete Ham(Vo.G.Key.)、Tom Evans(Vo.B.)、Ron Griffith(Vo.G.)、Mike Gibbins(D.)の4人の若者からなるグループで、
あのThe Beatlesが設立、経営していた「アップル」にスカウトされ、そのキャリアをスタートさせた。
彼らは1969年に「Maybe Tomorrow」と題されたアルバムでデビュー、その後Ronが脱退、代わってGary WalkerのバンドのギタリストであったJoey Molland(Vo.G.)
が新たに加わり、バンド名を"Badfinger"(バッドフィンガー)と改めて再デビュー、以降このメンバーで数々の名曲を作り出していくことになる。
このグループのソングライティングは主にPeteとTomの共作によるものが多く、そのメロディはブリティッシュロックのバンド独特の湿り気を帯びた、哀愁のある、心にしみるものであり、それは彼らの最大の魅力でもあった。
Beatlesからの影響を感じさせる部分も確かに多くあるが、それでも彼らの作品だと一聴で分かる独特なメロディを聞くにつけ、Pete/Tomのコンビは、Lennon/McCartneyにも匹敵する
コンビではなかったかと思うのだ。
けれども、レコード会社でもあったアップルレーベルの彼らに対するサポート不足と、彼らもまたマネージメントに無知であったこと(例えば、Beatlesのメンバーでさえアップルから離れようとしていた経営の危機 に際しても、彼らはアップルに居残り続けたことなど)や、それを補うべく雇い入れたマネージャーが私欲を貪り、彼らの収入を独り占めにしてバンドに損害を与えたことや、アルバムの中の一つの曲として作り上げたバラード、「Without You」 がその後に一人歩きして思わぬ大ヒットとなったがために生じた様々なトラブルなど、実にいろいろな不運がバンドを停滞させ、その才能を踏みつぶしてしまうことになる。
そして最後にはPeteとTomの自殺、という最大の悲劇をもって、オリジナルのBadfingerはその歴史に永遠の幕を閉じてしまうのだった。
誰もが望むオリジナル・Badfingerの復活はもうありえないことが誰にも明らかに分かっていることが一番悲しいことではあるが、彼らの残したメロディは多くの
人々の心の中で奏でられ続けていくことは間違いない。そのターンテーブルが止まることはない...。
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