Home

Biography

Apple Years

Out Of Apple Years

Solo Works

The Best Of

Movie,Video,Book

Covers

Bootlegs
Out Of Apple Years


    Badfinger / 1974              
 そんなわけでアップルとの契約もとうとう終わり、ワーナー・ブラザースへ移籍、自分たちのバンド名をアルバムタイトルにして心機一転といったところでこのアルバムをリリースする彼らではあったが、実は前作からわずか数週間しか間をおかずに本作がリリースされるというタイミングの悪さが露呈した作品。ほんとに売る気があるのかと疑ってしまうレコード会社のこのようなサポートぶりを思うと、相変わらず彼らは不遇のアーティストだと思わざるを得ない。
 さて本作はアルバムとしての統一感はあまり感じられないものの、中にはジョーイの最高傑作と言われているGive It Up、シングルカットした曲としては少々インパクトに欠けるもののメロウで美しいバラード I Miss You など、まだまだキラリと光る曲も収録されている。邦題はそのシングル盤と同じく「涙の旅路」であった。





    Wish You Were Here / 1974   
 ワーナーでの第2弾で邦題は「素敵な君」。このころになると彼らの才能の高さにも関わらず、シングルヒット曲を生み出す力はなくなってしまったかのように思える。
 アルバムからのシングルカット曲、 Know One Knows はヒット曲にこそなれなかったもののインパクトの強い名曲。この曲では、サディスティック・ミカ・バンドのリードボーカル、ミカさんの日本語によるナレーションが中間部に入っている。たまたまスタジオに遊びにきていたそうで、彼女はこのアルバムのプロデューサーである クリス・トーマスとその後結婚することになるのだ。また、Got To Get Out Of Hereなどもロッカバラードの隠れた名曲。
 このアルバムのセールスに関し、彼らと ワーナー・ブラザースと彼らのマネージャー (この人物がバッドフィンガーの悲劇のタネであったと言われている。) との間でトラブルが発生し、訴訟にまで発展、ツアー終了後にはとうとうギタリストのジョーイがバンドを離れてしまうという事態に見舞われてしまう。(このころジョーイは、ミック・テイラーに代わるストーンズのギタリストの候補者の一人であったとの噂があった。) このような様々なトラブルに見舞われ、ワーナーとも契約を打ち切られてしまい、次第にバンドは解散の危機に立たされるのだった。





    Head First / Unreleased 
 ジョーイ脱退の後、バンドは後任にギタリストではなくキーボーディストのBob Jackson (知る人ぞ知るブリティッシュロックのバンド、Indian Summerのリーダ) を加え新しいアルバムの製作に取りかかる。しかしレコード会社と係争中であれば当然アルバムが完成してもリリースされることはなく、結局オクラ入りとなってしまったのがこのアルバムなのだ。
 これまでは音質の悪いブートでアルバム中の数曲を聴くことしか出来なかった幻の作品だったが、2000年になって遂にCDにて復刻リリースされ、正式にその全貌が明らかにされた。Lay Me DownやKeep Believin'のような、シングルカット出来そうな明るい曲を多く含んだ本作がこんにちまで眠っていたのは実に残念なことだ。
 
このアルバムのレコーディング後、結局リリースにはこぎつけられず、前作からの訴訟はさらに長引き、それにからんで最終的にマネージャーにだまされていたことが分かったメンバーは落胆し、中でもピートはより強いショックを受けたのでしょうか、自宅ガレージで首を吊り、尽きることのない才能を自らの手で葬り去ってしまうのだ。ピート28歳の時の出来事だった・・・。





    Airwaves / 1979   
 ピート亡きあと、残されたメンバーは当然ながらばらばらになり、バッドフィンガーという名も人々から忘れ去られてしまう。トムはボブと The Dodgers という名のバンドを結成するがすぐに脱退、ドラムスのマイクはこの時には音楽業界から引退してしまっていた。 バッドフィンガーは完全に過去のバンドといった状態のまま5年の月日が流れた。
 1979年になってアメリカで音楽活動を続けていたジョーイが、イギリスからトムを呼び寄せバンドを結成、そのバンドに
再び「BADFINGER」 の名を与えて活動を再開させたのだった。そうして発表されたのがこのアルバム。「ガラスの恋人」と邦題がつけられた本作は当時日本でもちょっとした話題となったようだ。
 内容に関しては、やはりピートがいない分、アップル時代のバッドフィンガーの影をこのアルバムに見いだすのは難しいのだが、いちアーティストの作品としてとらえるとなかなか良質のポップスを聴かせてくれるアルバムに仕上がっている。
 トムのヴォーカルもまだまだ健在で、Lost inside Out や Love Is Gonna Come At Last などは一度聴いただけでも印象に残るアメリカンロックといったところだし、アップル時代の数々の名曲にも負けないであろうバラードDreamer なども一聴の価値がある。
 また、このアルバムのツアーからメンバーに元イエスのトニー・ケイが加入し、次作のレコーディングにも立ち会うことになる。





    Say No More / 1981  
 前作は素晴らしい曲が収録されていたのにも関わらず、セールス的にはいま一歩だった。このため配給元のエレクトラからもリリース契約を切られ、彼らは本作のリリースのためにカナダの マイナーレーベルであるRadio Recordsと新たに契約を結ぶことになる。
 このアルバムには、ヘッド・ファーストに収録する予定だったRock'n Roll Contractの再録テイクが収録されている。また、ジャケット デザインは彼らの数あるアルバムの中でも一番の出来映えだと思う。
 しかしこのアルバムのリリース後、トムは彼のプライべートな悩み事や、Without You 著作権に絡むロイヤリティに関する裁判のことなど、多くの悩み事を抱え、 ピートと同じようにまた自ら命を絶ってしまうのだった...。





    Day After Day / 1990  
 Day After Dayと名づけられたこのアルバムは、1974年のバッドフィンガーのアメリカ・クリーヴランドでのツアーの音源をジョーイがミックスダウンしリリースしたもの。ワーナー時代のライヴとはいえ、彼らがライヴではアルバムよりもハードに演奏していたことがよくわかる内容だ。そして、このアルバムのリリースにより彼らの作品が改めて見直され、正規盤のCD復刻ラッシュにつながったものと言われている。
 そしてリリース翌年の1991年にはジョーイのバッドフィンガーが初来日し、名曲オンパレードの実に熱い想いのこもったライヴを見せてくれたのだった。





    BBC In Concert 1972-3 / 1997  
 1972年の、彼らが最も輝いていた時期の貴重なライヴ音源と1973年のワーナー時代のライヴ音源で構成されたアルバムで、どちらもBBCライヴとしてロンドンで演奏したもの。オマケとして1970年の演奏であるCome And Get Itも収録されているのは嬉しいところだ。充実していた時期のライヴであり、生き生きとした彼らの演奏ぶりが印象的なアルバム。